研究実績の概要 |
幼稚な特徴をもつ対象は、知覚者にポジティブ感情(かわいい、やさしさ)を喚起させ、養護欲求の高まりから養育に関連する行動を促進する。この研究プロジェクトでは、かわいい感情や養護欲求が低下する原因を探るべく、対象と知覚者側それぞれの要因を多角的な方法で検討している。 2021年度は、実験成果の論文化と追加分析を行った。この実験では、子どものパーソナリティを操作し(positive, negative, neutral)、パーソナリティがかわいい感情や養護欲求に与える影響を調べた。望ましいパーソナリティ情報が追加された子どもの顔は操作前よりもかわいいと評価され、養護欲求が高まった。一方、望ましくないパーソナリティ情報が追加されると、前よりもかわいい評価が下がり、養護欲求も低下した。追加分析では、査読者からの指摘を受け、刺激のランダム効果を考慮した一般化線型モデルをによる固定効果(実験操作)の検討を行った。結果、分散分析の結果と一致することを確認した。この研究成果は、PLOS ONEに掲載され (Takamatsu, Kusumi, & Nittono, 2023)、メディア(時事通信、西日本新聞)にも取り上げられた。 また、対象を養護の対象とするとき、しないときの脳活動を計測するために、fMRI実験の予備実験 (n=102) と本実験 (n=50) を実施した。予備実験では、新たに開発したInclusion-Exclusion課題のオンライン版の検討を行った。結果、これまでの知見と一貫し、Exclusion条件のほうが、Inclusion条件よりも、養護の対象となる人カテゴリの多いことが示された。脳画像データについては、前処理を終えて個人解析を行なっている。
|