研究課題/領域番号 |
21K13672
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
秋保 亮太 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (50825130)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | チームワーク / 暗黙の協調 / チーム学習 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,チーム学習が暗黙の協調に及ぼす効果を実証的に検討することである。暗黙の協調は,チームの振り返りなどのメンバーの学習活動 (チーム学習)によって促進されることが既に明らかにされている (秋保他,2018)。しかし,従来の研究ではこれらの単純な関係性の検討のみに留まっており,チームの振り返りが持ちうる複雑な効果については十分な議論が行われていない。本来,課題遂行とチームの振り返りは時間的にトレードオフな関係にあり,その割合も看過できない要因であると考えられるものの,両者は暗黙理に独立のものとして扱われてきた。これらを踏まえ,本研究では効率的なチーム学習頻度について実験室実験を通して検討を行う。 そこで,まずは先行研究の包括的なレビューを行い,本研究に関連するチームワークの諸概念や理論的枠組みの精緻化を行なった。このレビューの成果は,現在,チーム研究に関する書籍の分担執筆に反映させるべく整理を行なっている。 また,先行研究のレビューを通して研究パラダイムの構築を行なった。計画段階で予定していた実験課題は,2人1組の実験参加者が接近して同一の機材に触れることを想定しており,COVID-19感染拡大防止対策が十分とは言えない。そこで,先行研究をもとに実験課題の見直しを行い,実験参加者が非接近・非接触で済むよう改善を図った。その上で,新たな実験課題でも秋保他 (2018)の研究知見が再現されるか検証すべく,研究1として概念的追試を試みている。現在,データ収集を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在もなおCOVID-19の収束の目処が立たず,実験室実験を実施する際においても感染拡大防止対策が引き続き求められている。本研究は,2人1組で実験に参加するものであるため,特に十分な感染拡大防止対策を行う必要があるだろう。こうした背景を受け,実験課題の修正・改善を余儀なくされたことが主な理由である。
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今後の研究の推進方策 |
まず,現在遂行中の研究1のデータ収集を継続し,秋保他 (2018)の概念的追試を行う。次に,研究1とは条件を変更した研究2を実施する。具体的には,同様の実験課題を用いつつ,チームの振り返り頻度を操作する。その上で,研究1・2を合わせて効率的なチーム学習頻度について議論を加えていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大防止対策に伴い,実験課題の修正・改善を余儀なくされたことによって,研究実施がずれ込んだため。
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