研究課題
若手研究
本研究の目的は,チーム学習が暗黙の協調へ及ぼす効果を精査することであった。実験室実験の結果,条件を問わず,チーム活動を繰り返し実行することで暗黙の協調が徐々に実現されることが明らかになった。また,チーム活動の移行過程にチーム学習を行ったチーム(実験条件)は,チーム学習を行わなかったチーム(統制条件)と比較して,暗黙の協調の実現が促進されることが示された。これらの結果から,チーム学習を繰り返し行うことで,チーム内で行動や考えの改善と共有が行われるものと考えられる。
社会心理学
いかにして暗黙の協調を実現していくかは,チームの形態を問わずあらゆる文脈で重要課題としてあげられてきた。しかし,暗黙の協調は理論上での議論や示唆の提言ばかりが先行し,実証的検討が十分に行われてこなかった。それに対し,本研究は暗黙の協調について時系列を追った検討を加えただけでなく,それらの知見の一般化可能性を検証した。本研究で得られた知見は,効率的なチーム活動に関する理論構築の一歩となるだけではなく,実際のチーム活動をより良くしていく上での議論の一助となりうるだろう。