本研究では「自分の周囲の環境は安全である」という知覚(安全性の知覚)が,他者への思いやり(共感的関心)と心拍変動の関係を調整するという仮説を検証した。研究1では,安全性の知覚を測定する心理尺度を開発し,その信頼性・妥当性を検証した。その結果,41項目の尺度が作成され,本尺度は8つの因子を含む双因子モデルであることや,内的一貫性や再検査信頼性,構成概念妥当性が十分であることが確認された。研究2では研究1で開発した安全性の知覚尺度を用い,この尺度得点が心拍変動と共感的関心の関係を調整するか否か検証した。その結果,心拍変動と共感的関心の関係における安全性の知覚の調整効果はみられなかった。
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