研究実績の概要 |
本研究では,児童・生徒のデータの読み取りや表現と,各教科の関係を明らかにすることを目的とする。(a)各教科の学習について,児童・生徒が持っている認知,(b)特定の問題に対して,児童・生徒がどのような教科の知識等を喚起しながら解決しようとしているのか,(c)データの読み取りや表現を行う授業を,どのような(単一または複数の)教科をどのように意識づけながら実施することが,より効果的かについて検証を行うことを目的としている。 当該年度は,主に(a)(b)に関して,予備的に大学生を対象としたオンライン調査を行った。過去のPISA調査で出題されたような,棒グラフとそのグラフに関する説明を読み回答する問題について,どのような教科の問題であると判断されるかについて,オンライン調査を行った。 その結果,原題が数学的リテラシーの問題として出題されたものであるにも関わらず,調査対象者のおよそ4割は,「算数・数学の問題である」と判断せず,他教科を選択した。また,およそ6割の対象者が,複数の教科の問題の複合的な問題であると判断した。 データの読み取りや判断に関する問題について,出題者側が特定の教科を意識して出題した問題であっても,当該の教科の問題とは判断されず,他教科の問題と判断される場合があることが示された。また,データの読み取りや判断を求める問題について,複数の教科の知識が喚起されている可能性が示唆された。 今後,問題解決を促進するための条件等について検討をさらに進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の進捗を活かしつつ,新型コロナウイルス感染症の拡大状況も考慮しながら,(a)各教科の学習について,児童・生徒が持っている認知については,小学校や中学校における質問紙調査を実施することで検討する。(b)特定の問題に対して,児童・生徒がどのような教科の知識等を喚起しながら解決しようとしているのか,についても,小学校や中学校での質問紙調査の実施することで検討する。両者について,感染症流行状況の一定程度の終息のおよび調査対象校の許可が得られれば,インタビュー調査を行うことでも検討する。 また,並行して補助的な調査として,大学生対象の同様の調査実施も検討する。
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