研究課題/領域番号 |
21K13696
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研究機関 | 植草学園大学 |
研究代表者 |
北田 沙也加 植草学園大学, 発達教育学部, 講師 (30845897)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 養育的行動 / 乳幼児 / 特性理解 / 自己意識 / 異年齢保育 / ベビースキーマ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,幼児が自分より幼い乳児に対して行う世話や分与などの養育的行動の生起メカニズムについて考察することである。具体的には,幼児が何を手掛かりに乳児を養育的行動対象と認識しているのか,幼児期初期に発達する自己意識がこのような対象特性の認識にどのように影響するのかを検討する。当初は,2021年度から2023年度にかけて0~3歳の乳幼児が過ごす保育施設で0歳児に対する1~3歳児の養育的行動を観察対象とした長期的な観察調査を行い,その知見をもとに2022~2023年度に実験調査を行い養育的行動の対象理解に自己意識が及ぼす影響について調べる計画を立てていた。 2022年度は,2021年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響により,保育施設での観察調査の実施を見送らざるを得なかった。また2022年度途中から産休・育休のため一時研究を中断している。 実際の調査はできなかったが,養育的行動の対象となる乳児の特徴について,ベビースキーマに関する先行研究の収集・整理を行っていた。ベビースキーマは,身体より大きい頭,顔のやや下に位置する大きな目,ぎこちない動きなど乳児期特有の身体的・運動的特徴である。これまで幼児期からベビースキーマに好反応を示すことが明らかになっているが,先行研究ではベビースキーマの外見的特徴,特に顔に焦点を当てており,動きや声などその他の観点から検討する必要性が指摘されている。今後は養育的行動対象の特性理解について,ベビースキーマのどの側面が影響しているのか実験調査で検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では,2021年度から小規模保育施設にて縦断的観察調査を開始する予定だったが,新型コロナウイルス感染症の影響により2022年度も実施することが出来なかった。保育・教育現場での感染拡大が起こり保育現場の負担が大きかったこと,部外者である研究者が観察に入ることで感染リスクを高めてしまうこと,特に研究対象としている小規模保育施設は抵抗力の弱い低年齢児であることを鑑み,観察調査の実施を見送った。そのため,進捗状況としては遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は遅れていた保育施設での観察調査を開始する。保育施設では1~3歳児の0歳児への養育的行動を継続的に観察すると共に,保育者にインタビュー調査もしくはアンケート調査を行い,養育的行動の対象となりやすい乳児の特徴や行為者となりやすい幼児の自己意識について明らかにする。 また,乳児をどのように養育的行動対象と認識しているのか,ベビースキーマの観点から検討する実験調査を行う。調査対象は1~3歳児および大学生とする。実験刺激は様々な月齢・状況の乳児の画像や映像とし,観察調査を実施する保育施設で撮影・作成する予定だが,難しければ画像・映像素材を購入する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は新型コロナウイルス感染症の影響により,観察調査が実施できなかったことに加え,年度途中から産休・育休に入り研究を一時中断したため,研究費の使用額が0円となった。 翌年度分と合わせて当初の計画通り観察調査に必要な機材の購入に充てる。また,調査の遅れを取り戻すため観察調査と並行して実験調査を行えるよう,実験調査の資料作成の費用に充てる予定である。
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