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2023 年度 実施状況報告書

被影響性に着目した児童期・青年期のパーソナリティ変化の規定因:家族調査による検討

研究課題

研究課題/領域番号 21K13697
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

川本 哲也  慶應義塾大学, 文学部(三田), 助教 (40794897)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードパーソナリティ / 縦断調査 / 家族
研究実績の概要

2023年度は,本研究が実施している縦断調査の2時点目調査の実施年度であった。2時点目調査に先立ち,研究課題と関連する学会発表を行った。まず,児童期・青年期の情動知能の発達の個人差に寄与する遺伝と環境に関する知見をPersonality Seriesにおいて発表した。この知見は,特に情動知能の変化に関し,環境要因がその主たる説明要因であるが,遺伝要因も一部寄与していることを明らかにしたものであった。
2点目は,パーソナリティの生涯発達に関する知見であり,パーソナリティ検査の6時点データを解析したものを,The International Society for the Study of Individual Differences (ISSID) 2023において発表した。この知見は日本人成人において,調和性が成人期に高くなる傾向がるのに対し,開放性が下がる傾向があることを示したものであった。
3点目は,学力と情動知能の縦断的な関連性に関するものであり,3時点の学力・情動知能データに関し,交差遅延モデルを適用した分析をしたものを,日本社会心理学会第64回大会において発表した。この知見は,情動知能が後の時点の数学の学力を正に予測することを明らかにしたものであった。
4点目は児童期・青年期の子どもの政治的関心の個人差に関し,双生児核家族デザインによりそれを検討をしたもので,日本パーソナリティ心理学会第32回大会において発表をした。この知見は,政治的関心の個人差に対し,遺伝要因と環境要因の寄与のほか,同類交配の影響も明らかにした。
以上の結果については,現在,論文として投稿するために原稿を準備しているところであり,2024年度中の投稿・採択を目指している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題が進行している家族単位での縦断調査は,2023年度に2時点目調査が予定されていたが,予定通り,2時点目の調査を実施することができた。このほか,調査の結果の概要を分析することもでき,縦断調査の進行に関しては問題無く進められている。
研究成果の発表に関しては,年度末に2時点目の調査データが得られたため,2024年度中に縦断分析の観点からより詳細な分析を行う準備ができている。
以上のことから,本研究課題は順調に進展しているということができる。

今後の研究の推進方策

本研究課題は2024年度が最終年度となっているが,研究課題開始当初に獲得できた金額に応じ,調査計画を2年間隔の3時点調査と変更したため,1年間の延長を行い,2025年度に最終時点の調査を行う予定である。2024年度は,2時点目と3時点目の間の年度にあたり,調査の実施予定はない。そのため,2024年度は,これまでに得られたデータをもとに,研究成果のアウトプットを精力的に進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

2時点目の調査の実施に際し,1時点目からの継続率が予想をやや下回ったため,調査実施にかかる経費が予定よりも少なくなり,残額が生じた。この残額を利用し,3時点目の調査において調査参加に対する謝礼をより多くすることで,3時点目調査における参加率を高くするようにする予定である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Using conformity and social ability to predict the general factor of personality2024

    • 著者名/発表者名
      Dunkel Curtis S.、van der Linden Dimitri、Kawamoto Tetsuya
    • 雑誌名

      Personality and Individual Differences

      巻: 223 ページ: 112631~112631

    • DOI

      10.1016/j.paid.2024.112631

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 中学生における関係性攻撃と学校適応感の関連:学級内地位の調整効果に注目して2024

    • 著者名/発表者名
      唐音啓、川本哲也
    • 雑誌名

      パーソナリティ研究

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Relationship between Personality Traits and Subjective Well-Being in Emerging Adulthood: Moderating Role of Independent and Interdependent Self-Construal2023

    • 著者名/発表者名
      Hatano Kai、Kawamoto Tetsuya、Hihara Shogo、Sugimura Kazumi、Ikeda Megumi、Tanaka Satoshi、Nakahara Jun
    • 雑誌名

      Journal of Youth and Adolescence

      巻: 53 ページ: 1155~1170

    • DOI

      10.1007/s10964-023-01918-z

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 個人差研究に関する動向・課題と今後の展望―パーソナリティの統合的理解に向けて―2023

    • 著者名/発表者名
      川本哲也
    • 雑誌名

      教育心理学年報

      巻: 62 ページ: 63~90

    • DOI

      10.5926/arepj.62.63

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 政治的関心の発達における遺伝と環境 シンポジウム「個人差研究における行動遺伝学 原点に立ち返り,今後を占う」2023

    • 著者名/発表者名
      川本哲也
    • 学会等名
      日本パーソナリティ心理学会第32回大会,金沢歌劇座
  • [学会発表] 非認知能力とは何であり,何ではないのか シンポジウム「非認知能力 基本的な考え方,応用可能性,そして問題点」2023

    • 著者名/発表者名
      川本哲也
    • 学会等名
      日本教育心理学会第65回総会,オンライン開催
  • [学会発表] 学力と特性情動知能の縦断的関連性:交差遅延モデルを用いた検討 シンポジウム「認知能力と非認知能力の行動遺伝学的分析 ―「学力と生きる力のふたご家族調査」による検討―」2023

    • 著者名/発表者名
      川本哲也
    • 学会等名
      日本社会心理学会第64回大会,上智大学・オンライン
  • [学会発表] Age and gender differences in metacognitive beliefs2023

    • 著者名/発表者名
      Tetsuya Kawamoto
    • 学会等名
      The International Society for the Study of Individual Differences (ISSID) 2023, Queen’s University
    • 国際学会
  • [学会発表] Change and stability of personality traits in Japanese middle adults2023

    • 著者名/発表者名
      Tetsuya Kawamoto
    • 学会等名
      The International Society for the Study of Individual Differences (ISSID) 2023, Queen’s University
    • 国際学会
  • [学会発表] Genetic and environmental contributions to change and stability of emotional intelligence in Japanese teens2023

    • 著者名/発表者名
      Tetsuya Kawamoto
    • 学会等名
      Personality Series, University of Tubingen
    • 国際学会
  • [図書] 要説パーソナリティ心理学 性格理解への扉2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木公啓(編),谷伊織・原島雅之・川本哲也・他18名(著)
    • 総ページ数
      232
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      978-4779517150
  • [図書] Big Fiveパーソナリティ・ハンドブック2023

    • 著者名/発表者名
      谷伊織・阿部晋吾・小塩真司 (編著),橋本泰央・堀毛一也・川本哲也・他21名(著)
    • 総ページ数
      296
    • 出版者
      福村出版
    • ISBN
      978-4571241055

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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