研究課題
洞察問題解決は発想の転換やひらめきが必要な問題解決である。そうした問題解決において無意識的な手がかりを呈示することで成績が向上することが知られている。しかし,かえって成績が低下してしまうこともある(手がかり妨害効果)。本研究では,この手がかり妨害効果が意識的な記憶検索によって起きるという仮説をたて実施した。当該年度では,(a) 前年度に実施した実験結果をまとめ論文を執筆した。これは,洞察課題の妥当性を検討するためのものである。(b) また記憶の検索のプロセスがどのような特徴を持つのか明らかにするために,オンラインでの心理学実験を実施した。実験の結果,可読性の高い文字は保持されやすいこと,二重課題によって記憶保持が阻害されることが明らかとなった。
3: やや遅れている
感染症の影響によって実験室での心理学実験が思うように進まなかった。オンライン実験による実験を試みたが,無意識的な手がかり(瞬間的に問題の手がかりをPC画面に呈示する)をオンライン実験として組み込むことは困難であった。
次年度は,実験室実験による実験データ収集,解析を行い,今年度中に実験結果を学会誌に投稿する予定である。また引き続きオンライン実験による実験プログラムの構築を試み,実験室実験とオンライン実験のハイブリッドな検討ができるよう準備を進める。
感染症の影響で実験室実験を実施することが困難であったため,謝礼金として支払うはずの予算が余った。次年度では,心理学実験の謝金として使用する予定である。具体的には,実験参加者1人あたり1000円の謝礼金で,最大37名を募集する計画である。
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