研究課題/領域番号 |
21K13701
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
山根 嵩史 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (90808726)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | メタ認知 / 学習過程 / 認知モデリング |
研究実績の概要 |
現実の学習場面を模した実験により,学習全体を通じたメタ認知的活動の相互関係と最終的な成績への影響過程を明らかにすることを目的とし,大学生およそ50名を対象として実験を行った。実験は,ドイツ語とその日本語訳のペア40項目を刺激として用い,①学習前フェーズ,②学習フェーズ,③再学習フェーズ,④テストフェーズの4つのフェーズから構成された。各フェーズにおいて,学習前には学習容易性判断,学習後には既学習判断,テスト時には確信度判断といった対応するメタ認知的モニタリングの指標が測定された。 主要な結果として,各学習段階におけるメタ認知的モニタリングとコントロール(学習時間の調整や再学習の判断など)との関連を時系列モデルの1つである交差遅延モデルを用いて検討したところ,先の段階で行われたメタ認知的モニタリングが次の段階のモニタリングに利用されていること,前段階のモニタリングが次の段階のコントロールを規定するが,その逆の影響関係はないことなどが示された。また,各段階のモニタリングがどのような手がかりに基づいて判断されるのかを分析したところ,語長や単語親密度など,一貫して手がかりとなるような刺激特性がある一方で,学習後のモニタリングは学習時間の影響を強く受けており,学習の進行に伴ってモニタリングに利用される手がかりが変化するという様態が示された。総じて,学習前からテスト時にかけてのメタ認知的活動の相互関係や判断のメカニズムに関する知見を蓄積できたことが本年度の成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度内に予定していた実験の実施が令和4年度まで持ち越しとなり,それに伴ってその後の計画も後ろ倒しとなっているものの,概ね順調に進められている。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に完了した実験の結果を受け,学習の初期から学習成立までを想定したより応用的な実験を現在実施中である。実験の結果を国内外の学会で発表するとともに,2つの実験をまとめて学術論文として公表するために準備を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度に渡航予定であった国際学会がオンライン開催となったこと,および実験実施の後ろ倒しにより次年度使用額が生じた。旅費や謝金,およびその他の研究遂行に係る諸経費として使用する予定である。
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