研究課題/領域番号 |
21K13716
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研究機関 | 人間環境大学 |
研究代表者 |
田村 紋女 人間環境大学, 心理学部, 講師 (30826863)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | Dark Triad / 反社会的なパーソナリティ / 攻撃性 |
研究実績の概要 |
本研究は,Dark Triadの各パーソナリティに特有の攻撃メカニズムを明らかにすることを目的としている。Dark Triadはマキャベリアニズム,サイコパシー,自己愛傾向による3つの反社会的なパーソナリティである。本申請計画では,攻撃性の形態や生起プロセスについて,認知,情動,状況の側面から多面的に検討する。 本研究課題は,4つの研究計画から構成されており,研究1では,さまざまな攻撃性の概念を整理し,Dark Triadの各特性に特有の攻撃性の特徴を見いだすため,「Dark Triadの多様な攻撃性の形態に関する包括的検討」を行う。研究2では,Dark Triadの3特性の中でも,マキャベリアニズムの攻撃性のメカニズムに焦点を当て,「認知的要因がマキャベリアニズムの攻撃性に及ぼす影響」を検討する。研究3では,サイコパシーの攻撃性のメカニズムに焦点を当て,「情動的要因がサイコパシーの攻撃性に及ぼす影響」を検討する。研究4では,自己愛傾向の攻撃性のメカニズムに焦点を当て,「状況的要因が自己愛傾向の攻撃性に及ぼす影響」を検討する。 まず,研究1を実施する。日本で既に作成されている能動的・反応的攻撃性尺度は,Dark Triadとの概念の重複が大きいため,海外で普及しているReactive-Proactive Aggression Scaleを翻訳し,日本語版を開発する準備を行っている。 また,研究2から研究4を行う準備を進めている。研究2では,マキャベリアニズムが高い人の攻撃性の指標として,他者表情の判断課題を使用する。研究3は,当初の予定を変更し,Web上で実施することとし,調査内容を再検討した。研究4については,コロナ下で実験の実施が困難であったが,課題作成など実験の準備を進めている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度に「研究1: Dark Triadの多様な攻撃性の形態に関する包括的検討」を実施する予定であったが,現在は準備段階であるため,やや遅れていると判断される。その原因として,多様な攻撃性の形態を測定するための指標を選定することに時間を要したことが挙げられる。 また,同時に研究2-3の準備を進めていたが,研究者の所属先の変更に伴い,データの測定に限界が生じたため,研究3を所属先の大学ではなく,Web調査で実施することに計画を変更した。また,研究4については実験室実験を計画していたが,コロナ下であったことからデータの測定が困難であった。以上の理由から,研究4以外の研究をWeb調査で実施することとなったため,調査内容の厳選などを行う必要があった。 2022年度において,変更点を踏まえて調査内容を再検討していること,および,複数の研究準備を同時に進めていることから,研究課題の遂行に大きな問題は発生していないと判断される。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に,前年度実施する予定であった「研究1: Dark Triadの多様な攻撃性の形態に関する包括的検討」を実施する。また,「研究2: 認知的要因がマキャベリアニズムの攻撃性に及ぼす影響」をWeb上で実施することを検討しているため,準備が整い次第,研究2も実施する。そして,2024年度実施予定の「研究3: 情動的要因がサイコパシーの攻撃性に及ぼす影響」の準備も進める。 2024年度に,研究3を実施する。また,「研究4: 状況的要因が自己愛傾向の攻撃性に及ぼす影響」は実験室実験を予定しているため,時間を要することが予想される。したがって,実験課題の準備が整い次第,2024年度から研究4も実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は研究者の所属変更に伴い,データの測定方法が当初の予定から変更となった。また,コロナ下であったため,十分な調査や実験が実施できなかった。そのため,大学にて対面調査を実施予定であった研究をWeb上で実施することとし,その他の研究と合わせて調査内容の厳選を行った。 このような変更を踏まえて,次年度に,昨年度実施予定であったWeb調査,および次年度もともと実施予定であったWeb調査を実施するために,記載している次年度使用額が必要となる。
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