研究実績の概要 |
睡眠・覚醒相後退障害(Delayed Sleep Wake Phase Disorder: DSWPD)は、明け方まで寝付けず日中に寝てしまうなど生体リズムのずれが生じる睡眠障害であり、就寝時間が遅くなることによって社会生活上で大きな支障が生じるだけでなく、アルコール乱用や自殺のリスクが上がる(McGlinchey & Harvey, 2015)。睡眠障害は他の睡眠障害や精神疾患と併存しやすいため(Harvey, 2008)包括的な介入が求められているが、診断横断的な行動医学的介入のDSWPDに対する有効性は示されていない。本研究は、DSWPDに対する、遠隔での介入プログラムの開発と、センシング技術を用いた臨床研究による効果検証を目的としている。研究1では、患者や専門家へのヒアリングに基づくプログラム開発および少数のDSWPD患者を対象としたパイロット研究を行う。 初年度である2021年度は、介入プログラムの開発に向け、当事者や専門家へのヒアリングを行った。DSWPDは治療への動機づけが乏しいことから(Morgenthaler et al., 2007)、アドヒアランス向上についても着目した。具体的には、当事者との意見交換のなかでDSWPD患者の治療へのアドヒアランスを高めるための測定ツールの検討を行った。また、睡眠外来でのプログラム実施に向けて、実施医療機関との連携体制を整えるとともに介入マテリアルの作成に取り組んだ。介入マテリアルの作成については、デザイナーに依頼し、アドヒアランスが高まるようなマテリアルの作成を行った。
|