研究課題/領域番号 |
21K13725
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
田中 健史朗 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60781101)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 遠隔相談 / 援助スキル / ガイドライン / コミュニケーション / 遠隔カウンセリング |
研究実績の概要 |
本研究の第1の目的は,対面相談と遠隔相談の差異および遠隔相談における効果的な援助スキルを解明することである。第2の目的は,遠隔相談における援助スキルのガイドラインを開発し,効果検証を行うことである。そのために,研究Ⅰでは,相談実験を実施し,それを録画した映像解析による検証と相談者へのインタビューによる検証を行う予定である。研究Ⅱでは,開発されたガイドラインを援助者養成プログラムへ応用する実践を行い,ガイドラインの効果検証を行う予定である。これらの研究成果を情報発信することにより,科学的根拠に基づいた質の高い遠隔相談の普及を目指している。 2022年度は,遠隔相談を経験しているカウンセラーに対してインタビュー調査を行った。特に,遠隔相談と対面相談における援助スキルの差異やカウンセリングプロセスの差異,クライエントの反応の差異に焦点を当てて調査を行った。その語りを合議法により分類し,援助スキルの差異を分析した。インタビューの結果から,カウンセリングの目的やオリエンテーションによっても,遠隔相談の様子が異なることが明らかになったため,現在は,カウンセリングの目的の違いによる差異についても検討を進めている。 また,COVID-19パンデミックの影響を受けて面接実践の実施が困難な状況が続いていたため,計画を一部変更し,相談者が遠隔カウンセリングで相談したい内容についてのアンケート調査を実施した。その結果から得られた遠隔相談における相談者のニーズについて,日本カウンセリング学会第54回大会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では,対面相談の実験を予定していた。しかし,COVID-19パンデミックの影響を受け,対面相談の実験が実施が難しい状況が続いており,研究計画がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19パンデミックが落ち着いた状況となってきていることから,本研究の目的を達成するための方法を工夫していくことを検討している。すでに今年度実施しているが,アンケート調査を行っていったり,遠隔相談と対面相談をどちらも経験している援助者へのインタビューにより,遠隔相談において効果的な援助スキルを解明を目指す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では,対面相談の実験を予定していた。しかし,COVID-19パンデミックの影響を受け,対面相談の実験が実施が難しい状況が続いており,実験協力者への謝金として予定していた予算が計画通り執行することができなかった。また,研究成果について国際学会での発表を予定していたが,COVID-19パンデミックの影響で海外渡航費を計画通りに執行することができなかった。そのため,次年度使用額が生じた。 しかし,本研究の目的を達成するための手段を柔軟に変更し,相談者へのアンケート調査や援助者へのインタビュー調査を実施することができている。それにより,一定の成果が挙がっていることから,翌年度もインタビュー調査をより進めていく計画である。また,COVID-19パンデミックが落ち着いた状況となってきていることから,翌年度は成果発表の機会を予定より多く確保し,積極的に研究成果を発信していく計画である。
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