本研究の目的はコミュニケーションにおける自閉スペクトラム症(ASD)者の身体同調特性を解明し,ASDに対する客観的なバイオマーカーを開発することである.一方向言語コミュニケーションにおけるASD者の聴者としての役割に着目し,身体同調特性の検証を行った.その結果,ASD者は定型発達(TD)者より同調の活動度と強度が有意に低いことが明らかになった.つまり,ASD者はTD者に比べ,同調の発現頻度や収束性が低く,時間変動が大きいことを示す.本研究によりASD者の同調特性は量的側面(発現頻度)と質的側面(時間変動と収束性)の両方から相違点が現れることが示唆された.
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