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2023 年度 実施状況報告書

デジタルデバイスによる機能性めまいの難治化の要因解明と心理データベースの構築

研究課題

研究課題/領域番号 21K13736
研究機関東邦大学

研究代表者

橋本 和明  東邦大学, 医学部, 講師 (70792620)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード機能性めまい / 経験サンプリング / MUS / 心身医学 / PPPD
研究実績の概要

Persistent postural-perceptual dizziness (PPPD)を含めた機能性めまいでは、病状に心理社会的な要因が影響すると考えられている。こうした背景を踏まえ当該年度においては、リクルートした症例の臨床的な経過や転帰を追跡し、自律訓練法などの心身医学療法が功を奏する可能性を報告した。また、デジタルデバイスを活用した感情とめまい症状の関連性についての知見を還元していくため、関連する学術大会において公表した。調査実績としては、前年度までにリクルートしていた11名に加えて、19名の症例を新たにリクルートし、合計30名に拡充した。データ数は前年度の323から890まで大きく増加した。予備解析ではNegative感情が高いことは機能的なめまい症状の高さと関連し、Positive感情が高いことは機能的なめまい症状の低さと関連があり、気分症状に対する心身医学的な介入が機能性めまいに有用である可能性を報告した。PPPDは様々なめまい疾患に心理社会的な影響が重複して固定化していく仮説が提唱されており、PPPDに該当する機能性めまいと該当しない機能性めまいのそれぞれの特徴について比較する段階までデータを整理した。また、デジタルデバイスによる経験サンプリングを用いた研究手法は、IoTの実装された社会に向けた前駆的な意義もあることから、関連学会において展望についての発表を行った。現在、最終解析および最終産物の論文を執筆し、学術ジャーナルへの投稿の準備中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

各学会での知見をふまえ、経験サンプリング法を用いた調査に対するブラッシュアップは順調に進んだ。経験した症例の縦断的な経過や、これまでの研究進捗についての知見について、関連する学術大会や研究会においてシンポジウム等で発表し、成果を挙げることができた。一方、臨床症例のリクルートは想定通りデジタルデバイスに対する先入観的な拒否感や、操作方法への抵抗感、日常生活の瞬時的データを提出する困難感、特にコロナ禍による影響を受け、参加者が当初の予定よりも少なく推移したことからリクルート期間を延長した。それに伴い、データの最終的な解析の遅延が生じ、全体的な研究の進行は予定よりも遅れて進行した。

今後の研究の推進方策

前年度の成果を踏まえて、機能性めまいにおける日常生活下の情動と病状の関連について、デジタルデバイスを用いた経験サンプリング法による調査を引き続き実施する。リクルート数に課題があり、当該年度までリクルート期間を延長したが、次年度では収集したデータの最終解析を行い、機能性めまいと情動の関連性を明らかにする。関連学会での最新知見を収集・統合しながら、最終産物として作成した論文は学術ジャーナルへの掲載に向けて取り組む。具体的には、階層線形モデルを用いた検討によって、Negative感情とPositive感情が機能性めまいの症例における日常の症状に対してどのように影響を及ぼすのか解析する。PPPDとそれ以外の機能性めまいの差異についても検討し、疾患としての特徴についても検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

論文作成や学術ジャーナルへの投稿までが完了しなかったことから、英文校正費や論文掲載費などが支出されなかった。また、年度末にリクルートしたサンプルへの謝金が年度内に間に合わなかったため、その支出もなかった。次年度においては、最終産物としての論文をブラッシュアップするための学会参加による最新知見の収集や、現在円安の影響で国際誌での論文掲載費は大幅に上昇していることから、その補填として使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] デジタル社会を見据えた自律訓練法とバイオフィードバックの併用治療2024

    • 著者名/発表者名
      橋本和明 , 端詰勝敬
    • 雑誌名

      自律訓練研究

      巻: 43 ページ: 7-11

  • [学会発表] 気分症状に対する自律訓練法による介入が奏功した機能性めまいの一例2023

    • 著者名/発表者名
      橋本和明, 端詰勝敬
    • 学会等名
      第14回日本耳鼻咽喉科心身医学研究会
  • [学会発表] デジタル化に伴うアジリティの向上が労働者のメンタルヘルスにもたらす展望2023

    • 著者名/発表者名
      橋本和明, 端詰勝敬
    • 学会等名
      第30回日本産業精神保健学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 機能性めまいの心身医学的な病態とデジタル技術の活用2023

    • 著者名/発表者名
      橋本和明, 端詰勝敬
    • 学会等名
      第64回日本心身医学会総会ならびに学術講演会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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