心理ストレスが及ぼす脳内適応機構の理解を深化させるため、「特定のゲノム上のエピゲノム修飾の操作によりストレス適応が変容するか」との問いを設定した。申請者が確立した新規エピゲノム編集技術を用いて、ストレス感受性制御のメカニズムをエピゲノム・分子・細胞・行動の多階層の視点から解明する。この学術的問いに答えることは、ストレス適応機構に対する心理生物学的基盤としてのエピゲノム修飾の理解につながる。成果として、環境ストレスによるエピゲノム修飾が神経可塑性に重要であることが示唆された。これまで不明であった心理的ストレス反応に対するエピゲノム修飾と行動との因果関係ならびその間を埋める分子機構を明らかにした。
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