研究課題/領域番号 |
21K13752
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
前川 亮 広島大学, 脳・こころ・感性科学研究センター, 研究員 (40862173)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 内受容感覚 / 感情 / 認知心理 / fMRI / 音楽 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,音楽により誘発される感動と内受容感覚の関係を検討するものである。最初に行動実験により,感動の特性の個人差と内受容感覚の個人差の関係を明らかにする。内受容感覚は感情の制御や感情把握に影響すると考えられていることから,内受容感覚の高い人は音楽ごとの感動の変化に敏感に反応すると考えられる。また,身体的情動に基づく感動であるため,ゾクゾク感などの身体感覚と関りがあると予想される。音楽ごとの特色や時間的変化を解析することで,内受容感覚の高低と関りのある特徴量を抽出することを目指す。そこから,内受容感覚から感動が知覚されるモデルを検証する。 研究目的を達成するため,令和3年度においては,心拍知覚に基づいて内受容感覚感度の個人差を計測する手法を検討した。ここ1,2年の間に内受容感覚感度を測定する方法が複数提案されており,それらの調査・比較をした。さらに,心拍弁別課題について従来手法を改善した方法を開発し,その妥当性の検討を行った。新手法を用いることで心拍知覚に対する複数の感覚(感度・精度)を同時に測定することが可能となった。また,測定した内受容感覚と質問紙の得点との関連がみられ,測定手法の妥当性が示された。次に,感情刺激を用いた実験について,近年提唱されている内受容感覚と感情のモデルについての調査を行い,それに基づいて実験の実施計画を立てた。また,感情を励起するための音楽刺激についても準備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度は申請者の兼務による業務負担が想定外に大きかったため,当初予定に比べて本研究に割けるエフォートが低下してしまった。そのため,実験準備が遅れている。一方,心拍に基づく内受容感覚感度の計測手法を開発することができた点は計画通りである。
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今後の研究の推進方策 |
内受容感覚の測定手法については今年度の実験によって,妥当な手法を開発することができた。次年度は感動刺激を用いた実験を実施し,その結果に基づいて感動の特性の個人差と内受容感覚の個人差の関係を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算立案時点ではデータ解析用PCの購入を検討していたが,所属機関にて利用可能な状況にあったため,新たな購入は見送った。人件費・謝金については,次年度実施する本実験の規模を勘案し,当該実験実施及びデータ処理に繰り越すこととした。次年度は本実験の実施や情報収集を目的とした国際学会参加等のために使用する予定である。
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