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2021 年度 実施状況報告書

表現の指数和に現れる不変式の幾何的・数論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K13773
研究機関九州大学

研究代表者

石塚 裕大  九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 助教 (50761136)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード数論的不変式論 / 指数和 / モジュラー曲線 / ヴィットベクトル
研究実績の概要

まず二元形式の指数和について,一般の次数における幾何的分解の具体的な形の決定に成功した。これは九次以下の二元形式で計算で得られていた結果の一般化であり,二元形式に対応する射影直線上の因子を組合せ論的な対象として考察することで得られたものである。現在,この組合せ論的対象を記述する方法について,陰計算や余代数の言葉で整備することを試行している。
また,次数が四以下の二元形式について得られていた,幾何的分解後に必要な代数多様体の有理点の数え上げについても,可換環論・古典的不変式論で用いられている概念をもとに整備した。さらにこの整備した観点から計算を進めることで,次数が五の二元形式について部分的な結果を得た。この方法はより高次の形式についても適用可能である。現在二元五次形式の残った計算を進めている。

伊藤哲史氏(京都大学),吉川祥氏(学習院大学)との共同研究においては,総実五次体上の楕円曲線でモジュラーでないものの幾何的な同型類はたかだか有限個であることを示した。これはモジュラー曲線において,既存の代数曲線論の結果をより深化させることによって得られたものである。この成果は現在学術雑誌に受理され,出版を待っている段階である。
浦本武雄氏(九州大学)との共同研究において,モジュラー関数を用いて構成した虚二次体のヴィットベクトルの整性に関して検討し,このベクトルが計算可能であることを証明した。この結果は共同で学会にて報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

最初の目標である二元形式の指数和について,数え上げ関数の幾何分解に関する一般的な結果を得たため。また幾何分解後についても,古典的不変式論や可換環論で知られていた結果を利用して調べる手法を発見し,二元五次形式の場合について部分的な結果を得ることができたため。

今後の研究の推進方策

二元形式の指数和の幾何的な分解の記述から,射影直線ではなく一般の射影曲線に対応するもの,複数の超平面で切断したものなど,様々な一般化が考えられる。そのために,上記の実績で用いた組合せ論的対象の言葉を整備し,できるだけ適用しやすい形に述べ直し,一般化を考察していく。
また具体的な数え上げの問題の背景にある不変式論は古典的不変式論のごく一部しか必要としないことがわかった。そのため,不変式論の一般論はあまり追求せず,より特殊化した形で周辺分野から情報収集を行う方針に変更する。そしてより多くの場合に具体的な数え上げを完成することを目指す。

次年度使用額が生じた理由

国内・国際ともに研究集会への対面形式での出席が難しい状況であったため,次年度使用額が生じた。次年度は様子を見つつ,できる限り出席していくことにしたい。書籍や周辺機器,ソフトウェア等への出費は今後も必要に応じて使用していく。特に今年度得られた結果が,組合せ論や分解コホモロジー等さまざまな分野へのつながりを感じさせるものであったため,書籍についてはより広く活用していく予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] On the integrality of algebraic Witt vectors over imaginary quadratic fields2021

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro Ishitsuka and Takeo Uramoto
    • 雑誌名

      RISC Report series

      巻: 16 ページ: 28-33

    • DOI

      10.35011/risc.21-16

    • オープンアクセス
  • [学会発表] On the integrality of algebraic Witt vectors over imaginary quadratic fields2021

    • 著者名/発表者名
      Takeo Uramoto
    • 学会等名
      The 9th International Symposium on Symbolic Computation in Software Science
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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