研究課題/領域番号 |
21K13774
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
太田 和惟 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (70770775)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | CM楕円曲線 / 岩澤理論 |
研究実績の概要 |
CM楕円曲線に付随する数論的不変量のp進的振る舞いについて研究を行った (九州大学の小林真一氏とカリフォルニア工科大学の Ashay Burungale 氏との共同研究)。 素数 p が考えている虚二次体で分裂する場合の CM 楕円曲線の岩澤理論は、ordinary 表現 (あるいはより一般にPanchishkin 表現)という場合の岩澤理論に該当し、さまざまな先行研究がなされ、一般的な予想が部分的に定式化されるなど理解が進んでおり、数論的不変量の振る舞いの理解もある程度進んでいる。しかしながら、p が惰性する場合は全く異なる現象が起き、ordinary 表現の場合の岩澤理論の枠組みでは捉えきれないだけでなく、整数性の崩れなどの多くの困難が現れる。それにより、数論的不変量の振る舞いについても従来とは異なる面白い振る舞いをし、それを理解することは、まだ明らかになっていない岩澤理論的現象を見出すためにも非常に重要である。 前年度までに代表者らは、惰性的素数における岩澤理論の基本的な予想であるRubin 予想の解決に成功し、その応用としてある種の反円分p進L関数の特殊値を研究し、論文を書き上げた。今年度はまずそれのリバイズを行った。また、University College Dublinで行われた Algebra and Number Theory Seminar でこの成果に関する講演を行った(オンライン)。 本年度は新たに、Rubin予想の応用として、CM楕円曲線の我々の設定 (pが惰性する) における Tate-Shafarevich 群の位数のp進的な振る舞いについて研究を行った。その結果、まず初めに解決されるべきである、L 関数の特殊値が p で割れない場合について振る舞いを完全に調べることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響で、移動を自粛したり、研究集会の開催が中止され、思うように研究打ち合わせや情報収集の機会がとれなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中のTate-Shafarevich 群のp進的振る舞いに関する論文を書き上げ、学術雑誌に投稿する。また、別の不変量であるイプシロン因子のp進的振る舞いに関する予想である加藤の局所イプシロン予想についても研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス拡大による影響で、旅行の自粛を余儀なくされたり、また研究集会も延期や中止がなされたりと思うように出張する機会がとれなかったため。
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