研究実績の概要 |
超平面配置に付随する対数的ベクトル場がなす加群が自由加群であるとき,超平面配置は自由配置であるといわれる.Shi配置はA型アフィン・ワイル群の元のある種の同値類の集合とShi配置の部屋が一対一に対応する,というJ.-Y.Shi氏の研究の中で,元々A型のルート系に対してのみ導入されたものである.Shi配置はWeyl配置の各鏡映面に平行な超平面を付け加えたという単純な対象であり,その自由性が,Edelman-Reiner予想の解決という形で示されているが,Weyl配置の自由性が基本不変式を用いて具体的に基底を記述することによって示されたのに対して,Shi配置の自由性はG. M. Ziegler氏による重複度付き超平面配置の理論や,代数幾何的な手法を用いて基底を構成することなく示された.その後,寺尾宏明氏,R. Gao氏, D. Pei氏, 申請者によってA型,B型,C型,D型のルート系に対するShi配置の基底構成がなされたが,それらはルート系の型に依存しており,全ての型を尽くしてはおらず,また得られた基底の形も非常に複雑なものであった.今年度の研究成果の1つは,辻栄周平氏,Michele Torielli氏との共同研究により,Athanasiadis氏やBailey氏によって得られていた,Shi配置に関連する2つの超平面配置のクラスにおける自由性の一致についての結果を拡張したことである(投稿中).また,もう1つの研究成果として,辻栄周平氏との共同研究により,Deshpande氏,Menon氏,Sarkar氏によって導入されたFuss-Catalan numberに関連する超平面配置の導分加群の基底を,離散積分により表示することに成功した(論文執筆中).
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