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2021 年度 実施状況報告書

一般 Greenberg 予想を中心とした非円分Zp-拡大の岩澤理論の展開

研究課題

研究課題/領域番号 21K13778
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

村上 和明  慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 訪問研究員 (60795681)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード多変数岩澤理論 / 岩澤加群 / 木田の公式 / λ-不変量 / 一般 Greenberg 予想 / Zp-拡大
研究実績の概要

p を素数、Zp を p 進整数環とする。虚二次体 k において p が P と P* に分解するとする。k~ を k の最大多重 Zp-拡大、N を k の P 外不分岐 Zp-拡大、Γ = Gal(k~/N) とおく。k~ 上の最大不分岐アーベル p-拡大のガロア群を X とおく。弱一般 Greenberg 予想、「X が非自明であれば、X は非自明な擬零部分加群を持つだろう」は本研究課題において中心的な問題である。k~ 上の P 上の素点の外最大不分岐アーベル p-拡大のガロア群 X’の構造は岩澤加群 X の構造と深い関係があり、X'の Zp[[Γ]]-加群としての構造(特に階数)を調べることは、本研究課題の第一ステップである。2021年度は、非円分 Zp-拡大での木田の公式(Riemann-Hurwitzの公式)を証明することで、このステップを克服した。研究成果は以下の通りである。以下、p は奇素数であるとする:
定理1. 代数体 K を N の有限次アーベル拡大、L/K を p 次ガロア拡大とする。λ(K)(またはλ(L))を K の(または L の)P 上の素点の外最大不分岐アーベル p-拡大に対応する岩澤加群のλ-不変量とする。このとき、λ(L)-1 = p(λ(K)-1) + (L/K で分岐する素点の個数)×(p-1) が成り立つ。
定理2. 岩澤加群 X'の Zp[[Γ]]-加群としての階数は、λ(N) + (k~ における P 上の素点の個数) - 1に等しい。
定理3. 虚二次体 k が p-rational ならば、λ(N)=0。 つまり、N の P 上の素点の外最大不分岐アーベル p-拡大は N と一致する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画の第一ステップである木田の公式を証明し、岩澤加群の Zp[[Γ]]-加群としての階数を明らかにすることができた点では順調である。一方で、研究計画ではこれらの結果から一部の代数体(特にp-rationalな虚二次体の一部)に対して弱一般 Greenberg 予想が証明されることが期待されたが、これは未だにできていない。その理由は、定理3より p-rationalな虚二次体には N の非自明な P 上の素点の外不分岐アーベル p-拡大が存在しないためである。

今後の研究の推進方策

2021年度の研究結果(定理3)は p が分岐する拡大も研究するべきことを示唆しているため、今後は p 分岐拡大を重点的に研究したい。そこで、2022年度では、p 分岐拡大に着目して、p-rational な虚二次体に対する弱一般 Greenberg 予想の研究を行う予定である。また、昨年度に得た研究成果を研究集会・論文にて発表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナウィルス流行が原因で研究集会がオンライン開催となってしまい、多くの研究者と交流する機会が失われてしまった。今後、国内外の研究集会が再開される状態になれば、それに充てる予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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