研究課題/領域番号 |
21K13785
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
今野 北斗 東京大学, 大学院数理科学研究科, 助教 (20845614)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 4次元多様体 / 微分同相群 / 同相群 / Seiberg-Witten方程式 / コンタクト構造 |
研究実績の概要 |
今年度は,境界付き4次元多様体の族に対する不変量を,境界にコンタクト構造が乗っている状況で定式化し,いくつかの応用を与えた.より具体的には,コンタクト境界を持つ4次元多様体に,コンタクト構造が誘導するシンプレクティック構造の乗ったコーン状の端を取り付け,その上でのSeiberg-Witten方程式を考える.この状況は既にKronheimer-Mrowkaによって考察されていたが,これをさらに族にして,族の不変量を定式化した.4次元多様体の内部の非自明な族に対する不変量だけでなく,境界のコンタクト構造の空間の基本群の情報も乗せた不変量も定式化し,これが非自明な応用を持つことを見いだした. 応用をより具体的に述べる.第一に,微分同相群から同相群への包含写像が誘導する,滑らかな写像類群とトポロジカルな写像類群の間の自然な写像の核の非自明な元を,多くの4次元多様体に対して無限個与えた.この核の非自明元を代表する微分同相写像は,最近「エキゾチックな微分同相写像」と呼ばれ盛んに研究が行われているが,境界付き4次元多様体に対してはこれが初めての組織だった結果となった.さらにこの微分同相写像たちを用い,2次元結び目のエキゾチックな埋め込みも数多くdetectした. 二つ目の応用は,4次元多様体内のエキゾチックな3次元部分多様体をdetectすることである.これは閉4次元多様体と境界付き4次元多様体の双方に対して考察した.この結果は族に対するSeiberg-Witten型の不変量の消滅定理を示すことでなされる.また,双曲3次元多様体などに対する一般化されたSmale予想の解決や,3次元多様体の正スカラー曲率計量の空間のトポロジーに関する結果など,3次元多様体論の深い結果が証明で用いられる. 以上,飯田暢生氏,Anubhav Mukherjee氏,谷口正樹氏との共同研究である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
境界付き4次元多様体の微分同相群と同相群の比較についての組織的な結果が得られ,論文をプレプリントとして完成させ,投稿することができた.一方,境界付き4次元多様体の族であって,境界への制限が非自明な族となる場合について,いくつかの結果が得られつつあるが,まだ論文を発表する段階には至っていない.
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今後の研究の推進方策 |
境界への制限が非自明な族となるような境界付き4次元多様体の族についての考察をより進めたい.また,今年度の結果をさらに発展させるための手術公式の整備を進めたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍が長引き,今年度も研究出張を希望通りに行うことが叶わなかったため.次年度は出張の予定があるため,そこで主に旅費として使用する予定である.
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