研究課題/領域番号 |
21K13794
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
大森 源城 東京理科大学, 理工学部数学科, 助教 (20843303)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 写像類群 / 周期的写像 / 群表示 / 対称的写像類群 / hyperelliptic involution |
研究実績の概要 |
写像類群とは曲面の向きを保つ微分同相写像のアイソトピー類からなる群である.写像類群は,曲面をファイバーとする多様体のファイバー構造を介して低次元トポロジーにおいて重要な役割を果たしており,その例として,写像類群の代表的な元であるDehn twist による関係式が,シンプレクティック4 次元多様体が許容するファイバー構造である,Lefschetz ペンシルとの対応を持つ.このような理由から,写像類群やその部分群の生成系や表示に関する研究は,それらの分野の発展に繋がる非常に重要な研究である. 曲面上の微分同相写像で,有限回合成すると恒等写像になるものを周期的写像という.ある周期的写像に対し,その周期的写像が生成する部分群の正規化群がどのような群構造を持っているかという問題は,低次元トポロジーの発展において非常に重要な問題である. Ghaswala氏とWinarski氏によって定義されたBalanced superelliptic (以下BS)回転と呼ばれる周期的写像がある.この周期的写像は,ある意味でhyperelliptic involution の一般化となっており,hyperelliptic involution の周期が2であるのに対し,BS回転の場合は任意の3以上の自然数kに対して,kを周期とするBS回転を定義することが出来る.BS回転が生成する部分群の正規化群をBS写像類群と呼ぶ. 本年度は,東京理科大学の廣瀬進氏との共同研究により,曲面が閉曲面の場合と,1点付きの場合,1つ境界付きの場合に,BS写像類群の有限表示を与えた.この表示を与える為に,対応するliftable写像類群の有限表示も与えたが,この表示は,Ghaswala-Winarskiの有限表示よりも関係式が簡明なものとなっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に記載した1年目の目標である,liftable写像類群の生成元の全空間へのliftを具体的に構成する事が出来,更にliftable写像類群の表示の簡明化とBS写像類群の表示の構成が出来た為.
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今後の研究の推進方策 |
今後は研究計画に記載のBS Torelli群の生成系に関する研究を行う.この研究を行う上で,BS写像類群の群構造について更に理解する為,BS写像類群とハンドル体群の共通部分であるBSハンドル体群の有限表示に関する研究も行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,新型コロナウイルスの影響により,ほぼ全ての学会・研究集会がオンライン形式となり,旅費が発生しなくなったからである. 次年度は,可能な範囲で学会や研究集会に対面で参加し,研究打ち合わせ等も積極的に対面で行いたいと考えている.
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