研究課題/領域番号 |
21K13797
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
粕谷 直彦 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (70757765)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 複素曲面 / 接触構造 / 強擬凹境界 |
研究実績の概要 |
研究課題(17K14193)において、強擬凹曲面への正則ハンドルの接着法を確立することにより「任意の3次元閉多様体はケーラーな強擬凹曲面の境界として実現可能である」という結果を得た。本研究課題ではその続きとして「強擬凹曲面上のケーラー形式と境界との相性がよい場合、境界上の接触構造はtightか?」という問題に取り組んでいる。現在のところ、以下の2つのアプローチを試みている。一つ目は、強擬凹曲面について何らかの意味で小平の埋め込み定理の類似が成り立てば、そこから境界のfillabilityが示され、特に接触構造がtightであることが示されるだろうというものである。しかし、強擬凹曲面上ではコンパクト複素曲面におけるホッジ理論に相当するものがないため、この方針はまだ糸口が見えない。何とか状況を打開するために、小平の複素曲面論や多変数関数論におけるL^2理論をよく理解しようと論文を勉強している段階である。二つ目の方針は、ハンドル接着によって具体的に反例を構成するというものである。つまり、境界との相性がよいケーラー形式を持ちかつ境界がovertwistedである強擬凹曲面を作るという方針である。現段階では、こちらの方が有望ではないかと考えており、contact (+1)-surgeryに相当するハンドル接着のみを使うことが鍵となるだろうと予想している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度から所属が変わり慣れない状況が多く発生したこと、研究課題(17K14193)で得た結果が思いの他好評で多くの研究集会で講演を行ったことが主な原因である。また、専門分野である接触幾何からはみ出して、複素曲面論を本格的に勉強する必要が出てきたことも大きな要因である。
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今後の研究の推進方策 |
まずは「研究実績の概要」に記した2つのアプローチを推し進める。特に2つ目のアプローチで様々な例を考えて反例の構成を試みる傍ら、1つ目のアプローチに必要な知識を勉強していく。また幸いなことに、本研究はトポロジー関係者だけでなく、複数の多変数関数論の研究者に興味を持っていただいているので、必要ならば共同研究も視野に入れ取り組んでいきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で、国内外の出張ができなかったため。次年度は、国内外の研究集会への出張が可能となる予想して、そのための旅費として使用する計画である。また、共同研究者を北海道大学へ招聘する費用にも充てたいと考えている。
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