研究実績の概要 |
本研究は,曲面論および可積分系理論において有名なDarboux変換に関する研究である.先行研究で申請者は,リーマン空間形内の双等温曲面に対し,「Sym型Darboux変換」という新たなDarboux変換を定義した.本研究では,Sym型Darboux変換をより深く解析することを目標にする.また,工学的な応用の面から,「離散曲線や離散曲面に対するDarboux変換」の研究も行う. 当該年度は,曲面のDarboux変換の研究として,3次元ユークリッド空間内のDelaunay曲面のSym型Darboux変換を考え,その曲面の構成を行った.また, これらのDarboux変換の構成の際には,平坦接続の平行ベクトル場を具体的に構成し,ヤコビの楕円関数や第3種楕円積分を用いた明示公式も導出した.この研究成果については,現在論文を執筆し,投稿中である. 一方,今年度は曲面のDarboux変換だけでなく,曲線のDarboux変換の研究も行った.先行研究[F. E. Burstall, U. Hertrich-Jeromin, C. Muller, and W. Rossman, (Geom. Dedicata, 2016)]で述べられているように,曲線のDarboux変換は曲面のDarboux変換と違い,ポラライゼーションと呼ばれる実関数の自由度が存在する.曲線のDarboux変換の研究は,曲面の曲率線の変換を研究することにも繋がり,非常に重要である.本研究では,弧長パラメータを与えるポラライゼーションに対し,曲線のDarboux変換を研究した.また,本研究では離散曲線のDarboux変換についても研究し,円のDarboux変換で閉じる曲線の研究を行った.この研究は,先行研究[M. Kilian, (arXiv ,2015)]の離散化の結果を含み,さらに平面曲線ではない離散空間曲線へと結果を拡張した.これらの研究成果については,現在論文を執筆し,投稿中である.
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