研究課題/領域番号 |
21K13805
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
宮西 吉久 信州大学, 学術研究院理学系, 准教授 (20740236)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ノイマン・ポアンカレ作用素 / スペクトル / 積分作用素 |
研究実績の概要 |
当該年度は、3次元空間内の領域におけるノイマン・ポアンカレ作用素のスペクトル挙動の研究に大きな進展があった。これは、本研究課題のテーマにもある、一般の積分作用素を考えるうえでも、大きな指針と具体例を与えるものとなった。 具体的には、まず、領域の境界がC2級より滑らかな領域について、Weyl's lawと呼ばれる、ノイマン・ポアンカレ作用素のスペクトル漸近挙動を導出した。この結果は、単著(査読あり)として、Advances in Math. に出版され、一般に滑らかでない積分作用素のスペクトル挙動を計算する指針を与えることにもなった。 また、3次元空間の非常に長い領域について、パイ生地のように平たく伸ばしていく場合と、ソーセージのように横に伸長する場合を考え、前年度に二次元空間で得られていたスペクトル挙動とは全く違うスペクトル挙動を得ることにも成功した。この結果は、国際共著として、Journal d'Analyse Math. に出版され、高次元空間における、無限領域の取り扱いの指針ともなった。 研究集会及び学会では、スペクトル・散乱 待兼山シンポジウム、日本数学会 (年会)、Inha University seminar、および、2022 年夏の作用素論シンポジウム(愛媛)において、出版論文2報を含む研究成果の発表を行い、応用と様々な作用素についても、研究成果と将来の展望について周知を行った。信州微分方程式セミナーでは、オーガナイザーとして、韓国人研究者の招聘も行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果は、幾つかの査読付きジャーナルに出版され、ノイマン・ポアンカレ作用素のスペクトル挙動の研究は、おおむね順調と考える。これらで用いた手法は、本研究課題にもある、様々な一般の積分作用素にも汎用可能であることが分かってきている。 惜しむらくは、中規模国際研究集会を当該年度中に実施出来なかったことであり、このことから、本課題を本年度に延長実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、さらに様々な積分作用素についても研究を進め、純粋数学(代数学や幾何学)への応用も計画している。また、本年度は、昨年実施できなかった国際研究会を、応用数理国際会議(ICIAM)とほぼ同時期に実施することを予定している。多くの国際研究討論を実施予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に実施予定であった中規模国際研究集会を、新型コロナウイルス対応のため、次年度に持ち越したため。使用計画として、2023年8月に国際研究集会を実施のための費用とする。
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備考 |
「信州大学学術情報オンラインシステム」は、信州大学による研究者案内 「線形作用素のスペクトルとその応用」は、申請者の研究紹介のページ
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