本研究の前段階として、我々が得ていた結果は次のようなものである。すなわちn=2次元で、曲面(曲線)が円周という特別な場合に、それに付随するFourier extension operatorに対するMizohata--Takeuchi予想を、Sobolevの埋め込みの意味で弱めた場合に、自明なregularityでの評価式(s=1)から、非自明な改良(s=1/2)ができるというものである。Mizohata--Takeuchi予想(s=0)自身が任意の次元で未解決問題であるため、この円周という特別な場合だけを取ってみても、大きな進展であった。 今年度は、この円周に対するs=1/2のSobolev型Mizohata--Takeuchi予想の高次元及び幾何学的一般化を行い、空間が偶数次元という制限はあるが、幾何学的意味をもつ適切な条件により、部分的な一般化に成功した。 合わせて、Flow monotonicityの手法を洗練させることで、Ornstein--Uhlenbeck semigroupのhypercontractivity不等式の解析を進めた。特に本研究によってこれまで知られていなかった、hypercontractivity不等式と凸幾何学における未解決問題との関連が明らかになった。
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