研究課題/領域番号 |
21K13806
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 昌平 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (30896121)
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研究期間 (年度) |
2022-12-19 – 2025-03-31
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キーワード | フーリエ拡張作用素 / Wigner変換 / Volume product / Hypercontractivity / Laplace transform |
研究実績の概要 |
今年度は、光学的アイデアを用いたフーリエ拡張作用素の解析を進め、新たな進展を得ることに成功した。特に、量子力学の文脈で表れ、現代では光学において応用されているWigner変換の見方を取り入れることにより、一般的な曲面に対するフーリエ拡張作用素に対する不等式を達成した。特徴的な点は、ここで考えている曲面は、曲率の一様な下からの下限を課す必要がないという点にある。 合わせて、Ornstein-Uhlenbeck semigroupの正則化効果を量的に記述する不等式(hypercontractivity不等式)を、インプット関数に適切な対称性を課すことにより改良することに成功した。この不等式はそれ自身、Borell’s reverse hypercontractivityを改良している。またこの結果から、Laplace変換のLp-Lp’不等式の最良定数を特定することにも成功した。この不等式は、Taoにより予見されたdetropicalized version Blaschke-Santalo不等式を実現している。また、その証明方法から凸幾何学における基本的な対象であるvolume productが、Fokker Planck heat flowの時間発展に関して、単調増大であることも突き止めた。特にこの結果は、凸幾何学のコミュニティに刺激を与え、その結果パリの研究チーム(Cordero-Erausquin, Gozlan)との共同研究を始めることにつながった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Wigner変換を用いたフリーエ拡張作用素の解析の成功およびvolume productの単調性を示すことに成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
凸幾何学における基本概念であるvolume productと、情報理論における基本概念であるエントロピーをダイレクトに不等式で繋げることを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた研究集会への参加を、招待扱いにしてもらえたため。
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