研究実績の概要 |
確率制御に関する研究をいくつか進めた. 具体的には, 一般のLevy過程に関する最適配当問題を扱い, 屈折--反射戦略の最適性を示した. 本研究では, 従来のものに加え, 幅広いクラスのLevy過程に対する屈折Levy過程を定義し, また屈折反射戦略の最適性を示すために, 新たな標本路解析の手法を導入した. この結果は, 今後一般のLevy過程に関する確率制御の問題で, 屈折に関する戦略の最適性を示す上で非常に有用ではないかと期待される. 本研究は論文にまとめ, 現在学術誌に投稿中である. また, 本研究で得られた結果は, 国内外のいくつかの研究集会で発表した. その他に, CIMATのJose-Luis Perez氏と, 一般のMarkov加法過程に関する最適配当問題の研究を, クイーンズランド大学の山崎和俊氏と, 一般のLevy過程に関する在庫制御問題や特異制御問題の研究を進めた. いずれも学術誌への投稿の準備を進めている. 北海道教育大学の植田優基氏, 名古屋市立大学の佐久間紀佳氏, 北海道大学の長谷部高広氏と, ブール独立性に関する無限分解可能分布の性質の研究を行い, いくつかの結果を得た. ブール独立性に関する無限分解可能分布のマスの性質, 正規分布やMarchenko--Pastur分布の性質等を明らかにした. 京都大学の矢野孝次氏とMarkov過程のポテンシャル論に関する議論を複数回行い, 今後の研究に必要と思われるいくつかの知識を得た. 具体的には, 過渡的関数や過渡的測度の性質についての知識を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
確率制御に関する研究では多くの進展が得られ, 内一つは論文を投稿するまでに至った. またブール独立性に関する無限分解可能分布の性質の研究も, 目標としていた結果はすでにいくつか得られている. Markov過程のポテンシャル論に関する研究については, 今後必要と思われる先行研究を明確にできた.
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今後の研究の推進方策 |
確率制御の研究については, Jose Luis Perez氏との共同研究や山崎和俊氏との共同研究を進め, 論文にまとめて学術誌に投稿する. また, Jose Luis Perez氏と, レベル依存Levy過程を一般化してその性質を求め, その確率制御への応用について研究する予定である. ブール独立性に関する無限分解可能分布の性質の研究については, これまで行なってきた研究をさらに進展させるのに加え, 佐久間紀佳氏と, ブール独立性に関する安定分布に対応するLevy過程の標本路の研究を行なっていく予定である. Markov過程のポテンシャル論に関する研究については, 今後周遊理論の一般化を行なっていく予定である.
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