研究実績の概要 |
一次元Levy過程に関連した確率制御の問題をいくつか解決し, またそれに関する論文が受理された. 以下具体的にどのような問題を扱ったかを記述する. 一般のLevy過程に対する, 絶対連続な配当を支払う場合の最適配当問題に関する論文が受理された. 山崎和俊氏(The University of Queensland)との共同研究の, 一般のLevy過程に対する, Poisson観察下において運営コストを最小化する確率制御問題に関する論文が受理された. Dante Mata氏(CIMAT), Harold A. Moreno-Franco氏(HSE University), Jose-Luis Perez氏(CIMAT)と, 負スペクトラルMarkov加法過程に対するPoisson観察下での最適配当問題を解決し, それに関する論文が受理された. 山崎和俊氏と, 一般のLevy過程に対する, Poisson観察下において運営コストを最小化する確率制御問題を解決し, それに関する論文を現在投稿中である. また現在, 山崎和俊氏, Jose-Luis erez氏と, 一般のMarkov加法過程に対する最適配当問題や, 一般のLevy過程に対する, 絶対連続な制御を行う場合の運営コストを最小化する確率制御問題についての研究を進めている. また, 正の飛びを持たない一次元確率過程の挙動を記述する上で重要な道具である, スケール関数に関する研究にいくつかの進展があった. 具体的には, 山戸康祐氏(筑波大学)との共同研究で, 正の飛びを持たない標準過程のスケール関数に関する, いくつかの解析的な結果を得られた. また, Jose-Luis Perez氏との共同研究で, レベル依存型Levy過程のスケール関数のVolterra型方程式を用いた表現について, いくつか進展があった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で記述したとおり, Levy過程およびMarkov加法過程に対する確率制御の問題に対して大きな進展があった. また, 一次元の正の飛びを持たない標準過程のスケール関数に関してもいくつか進展が見られた. 研究課題を進めるうえで発展することが望ましい. Markov過程のポテンシャル論に関する研究は, 矢野孝次氏(大阪大学)とともにいくつか議論を進めており, Patrick Fitzsimmons氏(UC San Diego)に協力を仰いでいる最中である.
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今後の研究の推進方策 |
上記の進展があった研究についてさらに発展させ, 論文にして投稿していくつもりである. 確率制御については, 今後多腕バンディット問題, 固定コストを持つケースにおける在庫制御問題を新たに取り扱っていきたい. またスケール関数については, 周遊理論に関する理解を深めることで, 新たに正の飛びを持たない自己相似Markov過程のスケール関数の, Volterra型方程式を用いた表現についての研究も行う予定である. 矢野孝次氏やPatrick Fitzsimmons氏と協力することで, Markov過程のポテンシャル論を発展させ, スケール関数についての研究の新たな方向への発展に繋げていきたい.
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