研究実績の概要 |
[具体的内容]本課題は質量保存則をもつ放物型方程式 (parabolic equations with divergence form)の基礎解析が目的である. このような方程式系の典型例は多孔質媒質中の流れを記述するporous medium方程式, 生物の走化性を記述するケラー・シーゲル系, 癌細胞の正常な細胞への浸潤を記述する癌浸潤モデルなどがある. これらの方程式に対する解の安定性を統一された手法により証明し, 論文にまとめた (Calculus of Variations and Partial Differential Equations, published online April 2022).本研究成果は, 横田智巳氏 (東京理科大学)との共同研究である.また, 第47回発展方程式研究会にて報告している. [重要性]準線形拡散項(\Delta u^m)をもつケラー・シーゲル系に対する解の安定化を考える. 先行研究としてm≧2の場合に解が定常問題の解に収束することが報告されている(J.Jiang (2018)).この系に上記のI-Yokota (2022)の手法を適用することで, 新たにmax{1, 2-2/N}<m<2 (ここでN≧1は次元を表す)の場合に解が初期値の積分平均(定常問題の解の一つ)に収束することを示した.
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