研究課題/領域番号 |
21K13817
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
齋藤 平和 電気通信大学, 情報理工学域, 准教授 (30754882)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | Navier-Stokes方程式 / Korteweg型圧縮性流体方程式 / 二相流 / 最大正則性 / 解析半群 / 時間減衰評価 / 漸近安定性 / 非有界領域 |
研究実績の概要 |
1. 3次元以上の場合に全空間が非コンパクトな界面により上下の領域に分けられているような状況を考察した.上側流体の密度が下側流体の密度よりも小さい場合に,二相ナビエ・ストークス方程式の線形化方程式に対して,解の高階微分の時間減衰評価を示した. 2. 1の線形化方程式の解の時間減衰評価と最大正則性定理を時間Lp空間Lq枠において組み合わせることで,二相ナビエ・ストークス方程式の自明な定常解の漸近安定性を示した.さらに,解が多項式減衰することを示した. 3. 上側流体と下側流体の密度が等しい場合を考察した.線形化方程式に付随するレゾルベント問題の解表示に現れる境界シンボル(ロパチンスキー行列式)の零点の解析を行った.低周波において複素平面内の原点に収束するような零点が現れ,その展開式を明らかにした. 4. 非すべり境界条件を伴うナビエ・ストークス・コルトベーグ方程式について,自明な定常解まわりでの線形化方程式に付随するレゾルベント問題を外部領域において考察した.バロトロピックな場合に対して,圧力の微分係数が非負実数という条件のもとで,レゾルベント評価を導出した. 5. 4と同様のレゾルベント問題を有界領域において考察し,圧力の微分係数が負になる場合を込めてレゾルベント評価を導出した.レゾルベント評価の応用として,線形化方程式に付随する解析半群が指数安定であることを示した.さらに,その指数安定性と最大正則性定理を組わせることで,十分小さな初期値に対して非線形問題の時間大域的適切性を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 二相ナビエ・ストークス方程式の研究については,上側流体の密度が下側流体の密度よりも小さい場合に対して,自明な定常解の漸近安定性を示すことができたため.また,上下流体の密度が等しい場合の研究も進めることができたため. 2. ナビエ・ストークス・コルトベーグ方程式の研究については,外部領域に対する線形理論の研究を進めることができたため.
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今後の研究の推進方策 |
1. 二相ナビエ・ストークス方程式の研究については,上側流体の密度と下側流体の密度が等しい場合に対して,自明な定常解の漸近安定性を明らかにする.また,2次元の場合についても同様の問題を考察する. 2. ナビエ・ストークス・コルトベーグ方程式の研究については,他の境界条件の場合にレゾルベント評価および非線形問題の適切性について考察する.
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