研究課題/領域番号 |
21K13818
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
森 直文 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (10803413)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 非線形偏微分方程式 / 対称双曲系 / 対称双曲・放物系 / 消散構造 / 減衰評価 / 記憶型消散効果 / 強正定値性 |
研究実績の概要 |
気体力学、流体力学、弾性体力学等に現れる偏微分方程式がもつ消散構造は複雑・多様で、解の安定性に関する証明の多くが個別・技巧的で応用性に欠く。そのため、消散構造が生じる自然のメカニズムの解明と、一般の場合に統一的な証明を与えることが重要である。本研究では、複雑で多様な消散構造の特徴付けと、消散構造をもとに偏微分方程式の安定性を示す方法の一般化を目指して研究を行い、次のような成果を得た。
1. Timoshenko 方程式系の剪断応力に時間遅れを考慮した「粘性的 Timoshenko 方程式系」を考察し、エネルギー法を用いて Lyapunov 関数を構成することで減衰評価を示した。また、固有値の漸近展開を求め、その減衰評価の最良性を示した。Timoshenko 方程式系は新型の消散構造をもつ典型例として知られているが、本研究で考察するモデルは従来(摩擦や熱による消散効果)とは異なる視点で消散効果が導入されている。したがって、消散構造の解明のみならず、物理的に消散構造が生じるメカニズムの解明にも貢献することが期待できる。
2. 記憶型の緩和項をもつ対称双曲系を考察し、記憶核に「強正定値性」という「指数的に減衰すること」よりも弱い仮定を課して、消散構造と線形減衰を示した。また、その減衰評価の最良性を示すために、記憶核が指数関数の場合の固有値の漸近展開を求めた。本研究で得られた結果は、次の段階として非線形系や行列型の緩和項をもつモデルへの発展が期待できるだけでなく、具体例として濃縮溶液中の凝縮ポリマーの構造変化を表現することが知られているため、化学・物理分野など応用研究にも貢献することが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初から研究対象としていた Timoshenko 方程式系の消散構造や、記憶型の緩和項を持つ方程式系の線形減衰など、多くの事項について進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
研究は順調に進展しており、今後も当初の計画通り研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に、記憶項を含む方程式系の線形拡散波の漸近挙動などについて、研究協力者と研究打ち合わせする予定であったが、コロナ禍により日程の折り合いがつかず、やむをえず旅行を先延ばしにし、代わりに関連する論文や書籍の調査を行い、具体例による実験的研究を行ったため、未使用額が生じた。このため、予定していた研究打ち合わせを次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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