研究実績の概要 |
令和3年度は,4本の論文投稿を行った.まず,山辺流などに代表される速い拡散型二重非線形放物型方程式の非負値解に対する消滅時間における最良減衰評価,および [Misawa-Nakamura, Adv. Cacl. Var. (2021)]で確立した非線形Intrinsic Scaling の方法により,非負弱解の消滅時間手前までの正値性の伝播を証明した.また時間伸長変換で代表的なGiga-Korn変換によって変換された解に対する時間無限大での定常解への(弱)収束を示した.つぎに,分数階p-Laplacianを主要部に含む速い拡散・遅い拡散すべてを含む分数階二重非線形放物型方程式に対する,あるエネルギークラスに属する弱解の存在を[Nakamura-Misawa, Nonlinear Anal. (2018)]で獲得した後退差分の方法と,弱収束・Vitali 収束定理により証明した,分数階の二重非線形方程式の解の存在性を扱ったのはこの論文が最初である.また,局所・非局所Trudinger型二重非線形放物型方程式に対する符号変化する弱(優)解の局所有界性と,L^p-ノルムに関する時間連続性について証明した.この論文ではKinnunen-Lidqvist (Adv. Calc. Var. (2006)) による指数型mollifierを用いることにより,さまざまなエネルギー評価が数学的に正当化されることを証明している.さsらに,この局所・非局所Trudinger型二重非線形放物型方程式の正値解に対するlog型Caccioppoli, Bombieri-Giusti型評価 (Invent., Math. (1972)) を駆使して,弱Harnack評価を導出した.
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