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2023 年度 実施状況報告書

非正則回帰モデルのベイズ推測理論とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 21K13835
研究機関広島大学

研究代表者

橋本 真太郎  広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (60772796)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードベイズ推測 / 縮小事前分布 / 非正則モデル / グラフィカルモデル / 変数選択 / 一般化ベイズ法 / ベイジアンブートストラップ
研究実績の概要

昨年度に引き続き,本研究課題である非正則回帰モデルの目的の一つである境界トレンドの推定問題について,ベイズトレンドフィルタリングの観点から研究を行った。多変量切断正規分布を尤度関数とし,事前分布に正規分布を仮定するとマルコフ連鎖モンテカルロ法を実装する際に,多変量切断正規分布からの乱数生成が必要になり,特にパラメータの次元が大きい場合には難しい問題である。本研究では,切断分布の指示関数をシグモイド函数で近似することで制約を緩和し,ポリア・ガンマデータ拡大法を使った効率的なサンプリングアルゴリズムにより事後分布の計算を行う方法を提案した。数値実験により,既存手法との比較を行い提案手法の有用性を確認した。また,応用例として生産曲線の推定や,地球温暖化に関して世界の平均気温の最大値と最小値のトレンド推定を行った。得られた成果を査読付き国際学術誌に投稿し,査読者からのコメントを反映したのち採択・出版された。

また,研究協力者とともにガンマ・ダイバージェンスを用いた外れ値に頑健なグラフィカルモデルに関する研究を行った。最適化における推定値と事後分布のモードをマッチングさせるような新たな事後分布をダイバージェンスに基づき構成し,外れ値が十分大きいときに事後分布から外れ値の影響が自動的に除外される事後分布の頑健性を理論的に示した。また,提案した事後分布を構成する尤度関数は,確率分布から誘導されるものではないため,事後分布が確率分布になるかどうかは自明ではない。そのため,事後分布が確率分布になるための事前分布の十分条件も導出した。遺伝子発現データに対して提案手法を適用し,有用性を確認した。これらの成果を論文としてまとめ,査読付き国際学術誌に投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題とも関連の深い分位点回帰や境界のトレンド推定に関する論文が査読付き国際学術誌に3報採択されたから。また,外れ値に対して頑健なベイジアングラフィカルモデルに関する研究も研究協力者との共同研究により進展したため。

今後の研究の推進方策

分位点の平滑化のためのトレンドフィルタリング法は,複数の分位点の同時推定において crossing という問題を有する。最近,スプライン法に基づく non-crossing なベイズ的平滑化が提案されたので,その方法を参考にトレンドフィルタリングの研究を行っていく。また,境界トレンドのベイズ推定に関しても外れ値が存在する場合の対処法がまだ確立されていないため,引き続きその課題に組んでいく予定である。

次年度使用額が生じた理由

参加を予定していた学会に関して,学内業務のためオンライン参加となったため。次年度は最終年度となるため,研究成果の発表のための出張旅費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 4件)

  • [雑誌論文] Fast and locally adaptive Bayesian quantile smoothing using calibrated variational approximations2024

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Onizuka, Shintaro Hashimoto, Shonosuke Sugasawa
    • 雑誌名

      Statistics and Computing

      巻: 34 ページ: 15

    • DOI

      10.1007/s11222-023-10327-y

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Locally adaptive spatial quantile smoothing: Application to monitoring crime density in Tokyo2024

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Onizuka, Shintaro Hashimoto, Shonosuke Sugasawa
    • 雑誌名

      Spatial Statistics

      巻: 59 ページ: 100793

    • DOI

      10.1016/j.spasta.2023.100793

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Bayesian boundary trend filtering2024

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Onizuka, Fumiya Iwashige, Shintaro Hashimoto
    • 雑誌名

      Computational Statistics and Data Analysis

      巻: 191 ページ: 107889

    • DOI

      10.1016/j.csda.2023.107889

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Sparse Bayesian inference on gamma-distributed observations using shape-scale inverse-gamma mixtures2024

    • 著者名/発表者名
      Yasuyuki Hamura, Takahiro Onizuka, Shintaro Hashimoto, Shonosuke Sugasawa
    • 雑誌名

      Bayesian Analysis

      巻: 19 ページ: 77-97

    • DOI

      10.1214/22-BA1348

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Robust Bayesian graphical modeling using gamma-divergence2024

    • 著者名/発表者名
      鬼塚貴広, 橋本真太郎
    • 学会等名
      RIMS 共同研究(グループ型A)による研究会「確率モデルと統計的推測」
    • 招待講演
  • [学会発表] ノンパラメトリックベイズ法を用いたネットワークデータのコミュニ ティ検出2024

    • 著者名/発表者名
      岩重文也, 鬼塚貴広,橋本真太郎
    • 学会等名
      RIMS 共同研究(グループ型A)による研究会「確率モデルと統計的推測」
    • 招待講演
  • [学会発表] ベイズ法による外れ値に頑健なグラフィカルモデル2024

    • 著者名/発表者名
      鬼塚貴広, 橋本真太郎
    • 学会等名
      第18回日本統計学会春季集会
  • [学会発表] 非正則な統計モデルに対するベイズ予測のための確率一致事前分布2023

    • 著者名/発表者名
      橋本真太郎
    • 学会等名
      科研費シンポジウム 「ベイズモデリングの最近の展開」
    • 招待講演
  • [学会発表] 有限混合モデルの混合事前分布を用いた次数修正確率的ブロックモデルのベイズ推定2023

    • 著者名/発表者名
      岩重文也, 鬼塚貴広,橋本真太郎
    • 学会等名
      2023年度統計関連学会連合大会
  • [学会発表] ガンマダイバージェンスに基づくベイジアングラフィカルモデル2023

    • 著者名/発表者名
      鬼塚貴広, 橋本真太郎
    • 学会等名
      2023年度統計関連学会連合大会
  • [学会発表] Robust Bayesian Inference for Censored Survival Models2023

    • 著者名/発表者名
      羽村靖之, 鬼塚貴広,橋本真太郎,菅澤翔之助
    • 学会等名
      2023年度統計関連学会連合大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 有限混合モデルの混合事前分布を用いた確率的ブロックモデルのベイズ推測2023

    • 著者名/発表者名
      岩重文也, 橋本真太郎
    • 学会等名
      2023年度科研費シンポジウム「データサイエンスにおける統計的理論・方法論の新展開」

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公開日: 2024-12-25  

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