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2021 年度 実施状況報告書

固有値保存変形を与える離散可積分系の導出とその漸近挙動解析

研究課題

研究課題/領域番号 21K13844
研究機関同志社大学

研究代表者

新庄 雅斗  同志社大学, 理工学部, 助教 (10823081)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード固有値 / 固有ベクトル / 離散可積分系 / Cyclic Reduction / ツイスト分解法
研究実績の概要

数値線形代数において古くから研究されている行列固有値問題であるが,計算機技術の発展に伴い,科学技術計算への応用の観点から,固有値や固有ベクトルを求める新たなアルゴリズムの定式化や既存アルゴリズムの高速化が重要な課題となっている.可積分系が漸近的に安定な挙動を示すことを背景に,本年度では,帯行列に関連する可積分系のラックス表示に着目し,離散時間発展において行列固有値を保存するを離散化を明らかにした.特に,3重対角行列に紐づけられた戸田格子方程式の拡張系の1つである戸田階層について,行列の陰的シフト付きLU分解の1反復と可積分系の離散時間発展が対応づくことを明らかにした.また,戸田格子方程式に対するq差分を通じて得られるq離散系およびその空間方向への拡張系が漸近的に固有値へ収束することを示し,q離散系の離散時間発展が行列分解を経由しないアルゴリズムの定式化を可能にすることを示した.加えて,固有ベクトル計算法として知られるツイスト分解法について,連立一次方程式の直接解法であるCyclic Reductionを繰り返し前処理に組み込むことで,複数の小問題に並列化可能なアルゴリズムを定式化した.さらに,固有ベクトルの任意性を巧く処理することで.既存アルゴリズムと同程度の計算精度を維持しつつ,固有ベクトルの計算時間の削減を達成した.Cyclic Reductionによる前処理によって,行列の固有値分布が変化し,その条件数が減少するため,数値解法の観点からも提案アルゴリズムは優良な特性をもつといえる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

可積分系の離散時間発展とLU分解法の1反復との対応だけでなく,可積分系のq離散版が関連する行列固有値を保存する離散力学系を与えることを明らかにしており,本研究課題はおおむね順調に進展していると考える.

今後の研究の推進方策

Hessenberg行列に関連する可積分系のq離散版の厳密解について解析するとともに,離散可積分系の時間発展を陰的シフト付きQR分解に対応づけた場合の漸近収束性について研究を進めていく.また,Cyclic Reductionの一般化に相当するStride Reductionとツイスト分解法を組み合わせた固有ベクトル計算法の定式化についても検討する.

次年度使用額が生じた理由

社会情勢を鑑みて,物理的な移動を伴う学会出張や研究打ち合わせを控えたことから,旅費経費として予定していた金額の支出がなかったため,支払請求額と実支出額とに金額の差が生じた.翌年度分として請求した助成金と合わせて,次年度使用額は旅費として支出することを予定している.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Roots of Characteristic Polynomial Sequences in Iterative Block Cyclic Reductions2021

    • 著者名/発表者名
      Shinjo Masato、Wang Tan、Iwasaki Masashi、Nakamura Yoshimasa
    • 雑誌名

      Mathematics

      巻: 9 ページ: 3213~3213

    • DOI

      10.3390/math9243213

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ツイスト分解に基づく固有ベクトル計算法のCyclic Reductionを繰り返し利用した高速化について2021

    • 著者名/発表者名
      佐藤 洸次朗, 新庄 雅斗
    • 学会等名
      第19回計算数学研究会

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公開日: 2022-12-28  

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