研究実績の概要 |
2021年度は巡回差集合族と関連した構造を持つ組合せデザインの提案及び, 既存デザインの応用研究に費やした. 具体的には, 完全二部グラフの部分グラフに関する組合せ構造(spanning bipartite block design)の提案と構成法に関する研究, および, 深層学習に用いられるドロップアウトデザインの構成法の提案とその有用性に関する実証実験を行った. 主な研究成果は以下の通りである. (1) 巡回型ドロップアウトデザインの構成法を示した. この結果は国際論文誌 Designs, Codes and Cryptographyに掲載された. (2) 完全二部グラフの部分グラフに関する組合せ構造 Spanning Bipartite Block Design(SBBD) を提案し, いくつかの構成法を示した. また, SBBDを実験計画法に適用した際に, variance balancedであることを証明した. Variance balancedを満たす計画はA-最適であることが知られているがその逆は示されていない. 数値シミュレーションにおいてもSBBDが最適値を取ることを確認した. この成果は国際論文誌に投稿中である. (3) ドロップアウトデザインを用いた深層学習の計算機実験を行った. 具体的には, ドロップアウトデザインとドロップアウト法それぞれの方法で正則化を行った多層ニューラルネットワークの全結合層に対して, 訓練時の性能及びテストデータ使用時の汎化性能を評価した. データセットはCIFAR-10を使用した. この成果を国内の組合せ論の会議において発表した.
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