空間反転対称性の破れたワイル半金属はその非相反性に由来して2次の非線形相互作用が現れる。これまではdcあるいはエネルギーの高い光(0.1―1 eV)によって電磁応答が調べられてきており、そのギャップを埋めるテラヘルツ分光がフェルミ面近傍の応答を探るという点で重要である。 本研究ではワイル半金属Td-WTe2におけるテラヘルツ帯の電磁応答を調べた。室温で第2高調波および第3高調波発生の観測に初めて成功した。また、テラヘルツ帯の室温非線形ホール効果の寄与は十分小さいことがわかった。さらに、Td-WTe2のような微小試料のテラヘルツ応答の計測を可能にするオンチップテラヘルツ分光計測技術を開発した。
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