研究課題/領域番号 |
21K13866
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
林 寛 京都大学, 化学研究所, 特定助教 (50826691)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ダイヤモンドNV中心 / 量子センサー / 近接場 / レーザー加工 |
研究実績の概要 |
NVセンターの電子スピンは室温で長いコヒーレンス時間(1 ms以上)を持ち、スピンの初期化、操作、測定が可能である。この特徴を持つNVセンターの電子スピンを用いてダイヤモンド外部の少数核スピンの検出を行うナノNMRへの応用研究が精力的に行われている。このようなデバイスの開発には、NVセンターの電子スピンと対象の核スピンとの強い相互作用が必要となる。このため、NVセンターの電子スピンと対象核スピンの距離を短くする必要があり、ダイヤ表面にNVセンターを生成することが望まれている。 本研究では表面NVセンターを再現性良くナノスケール分解能で作製する手法の確立を目指し、フェムト秒レーザーによるダイヤモンド加工技術に着目した。 本年度は初年度であったため,まず装置系の構築を行い、ダイヤモンド表面にnm精度でフェムト秒レーザーを照射し、ダイヤモンド表面を加工する技術の開発を行った。フェムト秒レーザーは油浸対物レンズで集光した。また、CWレーザーを用いた自作の共焦点レーザー顕微鏡で反射光強度を測定することにより、ダイヤモンド表面と対物レンズの相対距離を測定し、ピエゾステージ(0.1 nm分解能)によりダイヤモンド試料―対物レンズ距離を制御した。上記の自作レーザー加工装置を用いてダイヤモンド表面にフェムト秒レーザーを照射すると、ダイヤモンド表面局所部分に結晶転位を作ることができる。ここに水素プラズマ処理を行うと、転位部のみがエッチングされ、ピットが生成される。このようにフェムト秒レーザーと水素プラズマ処理を組み合わせる事で深さ原子層レベル、幅100 nmの局所部分のエッチング加工が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,測定系の構築ならびに,ダイヤモンド表面を原子層レベルでエッチング出来るレーザー条件を見つける事が出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今後は本年度に構築した技術、装置を用いて実際に表面局所部分にNVセンターを作製し、そのNVセンターの特性評価を行いたいと考えている。また、さらに局所部分にNVセンターが作製できるよう、金属構造などを利用した新たなNVセンター作製法にも着手する。
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