研究課題
昨年度構築した測定セットアップに改良を加え、外部の熱擾乱の影響を受けにくく、精度よくサンプル上の外場印加時の温度変化を測定できるようにした。また温度差測定用熱電対を自作し市販品と同程度の性能を確認した。これによりこれまでより効率的に測定系を組むことができるようになった。さらに測定プログラムも改良し自動化を容易にした。これらをもとに新規物質における熱輸送特性の測定を進めた。昨年度の続きとしてハニカム格子反強磁性体の熱伝導測定を行い、同じ結晶構造において異なる元素によってどのように特性が変わるのかを系統的に調べた。非磁性陽イオンの違いによって磁場中で顕著に異方性が異なる熱輸送特性を観測した。この原因として磁性イオンの結晶場励起と磁気秩序時のスピン波がそれぞれ異なる温度で格子振動と相関すること、および非磁性陽イオンによってわずかに(数μeV)スピン波のギャップが異なることがあげられる。これらの結果を発表するために論文準備中。磁性ワイル半金属候補物質として昨年度見つけていた希土類金属間化合物の異常ネルンスト効果を希土類元素を変えながら系統的に測定した。特に非磁性イオンと磁性イオンとで異なるふるまいを発見することで、磁性由来の応答を非磁性体の電子バンド由来の応答と切り分けることができた。本系においてはバンド計算などによる電子状態解析も同時並行で行っており、それらを合わせてトポロジカル電子状態由来の応答であることを明らかにしていく予定。
すべて 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
Journal of Alloys and Compounds
巻: 947 ページ: 169475~169475
10.1016/j.jallcom.2023.169475