研究課題
多くのコロイド懸濁液はせん断に対して非ニュートン流体的な応答を示す。特にせん断応力を印加すると粘度が増大する特性はシアシックニング(ダイラタント)と呼ばれる。この現象はパイプの詰まりの要因となる一方、衝撃で硬化する特徴を活かした衝撃吸収材等への応用も見込まれてており,特性制御のための現象の機構解明が望まれる。シアシックニングはせん断を加えた動的なプロセスで発生するので,応力印加と物性計測を同時に行う必要がある。本研究ではX線透過レオメーターセルを使った粘度と小角X線散乱(SAXS)と極小角X線散乱(USAXS)の同時測定(Rheo-SAXS/USAXS)によって,リアルタイム構造観察によるシリカとポリマーの凝集プロセス解明に取り組んだ。実験の結果、粘度増加に伴いシリカが凝集した楕円形のfloc構造が形成され,流れに平行に整列し、粒子間隔も流れ方向に圧縮されていることが判明した。これはダイラタントの発生において,ポリマーによるシリカ粒子間の架橋が重要な要因であることを示す。本研究ではRheo-SAXS/USAXS測定に対してトリガーシステムを組み合わせることで、msecの高速な時間分解測定を可能にした。この技術開発はこれまで未解明であったシアシックニングが発生する過渡現象を明らかにするものである。さらにピエゾ動作する自作せん断セルも開発し、μLの微小量サンプルに対して、せん断同時計測が可能になった。
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Colloids and Surfaces A: Physicochemical and Engineering Aspects
巻: 658 ページ: 130727~130727
10.1016/j.colsurfa.2022.130727