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2021 年度 実施状況報告書

多体ソフト粒子流の時空間構造と流動特性

研究課題

研究課題/領域番号 21K13891
研究機関千葉大学

研究代表者

伊藤 弘明  千葉大学, 大学院理学研究院, 助教 (10783186)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードマイクロ流路 / レオロジー
研究実績の概要

多数のやわらかい微粒子が流体に懸濁した系は、細胞懸濁液やエマルションなど、自然界から産業界にわたり普遍的に存在する。本研究では、これらの懸濁液の流動性を制御するための指針となる基礎的な流動原理の解明を目指し、マイクロ流体実験を行う。本年度は、(1)マイクロ流体デバイス作製環境の整備および、(2)ミクロ液滴(油中水滴)生成機構を搭載したマイクロ流路を用いた流動実験、(3)マイクロ流路を流れる赤血球細胞の変形実験を行った。
(1)マイクロ流体デバイスの作製は、東京工業大学の微細加工プラットフォームを利用することができ、利用申請及び出張によるデバイス作製を行った。加工条件の検討も行い、目的の微細加工の手法を確立することができた。
(2)ミクロ液滴生成機構を搭載したマイクロ流路の設計・作製の試行錯誤を行い、ミクロ液滴のゲル化を伴う前後非対称形状への変形、および多数の液滴の懸濁液による擬2次元流れの実験を行った。ゲル化を伴う前後非対称形状への変形については論文を投稿し、受理された。多数の液滴の懸濁液による擬2次元流れについては平均二乗変位の解析から興味深い液滴密度依存性を見ることができ、実験データの解析と理論的な検討を行っている。
(3)マイクロ流路を流れる赤血球の形状について、矩形管軸上での観察を行うためのマイクロ流体デバイスの設計と変形形状の速度依存性の確認を行った。従来シミュレーションで示唆されてきた速度依存性の一端を実験データとして示すことに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

初年度である本年度は、本研究の実施に必須であった微細加工環境の準備や加工条件の検討を年度中盤までに終えることができ、目的の実験を遂行することができた。ミクロ液滴生成機構を搭載したマイクロ流路は、本年度に実施した実験に適したデザインを考案することができ、実験データの取得と解析へと進むことができた。前後非対称形状をもつ液滴の研究については大きな進展があり、論文を発表することができた。マイクロ流路軸上を流れる赤血球の実験についても、考案したデザインで順調に実験を行うことができた。
また、翌年度以降の培養細胞を用いた実験を開始する算段が立ったため、予算の使途および実験のデザインを見直し、高速度カメラの新調は行わず、現有のカメラの修理と翌年度の細胞培養環境の整備に予算を配分することとした。

今後の研究の推進方策

本研究課題の初年度は実験環境の整備を行い、ミクロ液滴および赤血球細胞を用いた実験を開始した。今後は、現在観察されている多数のミクロ液滴の流動現象について、得られた振る舞いの密度依存性のメカニズムを議論しつつ、さらに構造因子、中間散乱関数等の定量化を行い、時空間構造の詳細な特徴付けを行う。解析には粒子の形状変形の効果も取り入れ、遠方と近傍の相互作用それぞれの寄与を明らかにする。赤血球細胞のマイクロ流路内変形については、サンプル数を増やすなどさらに実験データの精度を上げ、論文投稿を目指す。また、細胞培養を開始し、柔らかい粒子懸濁液として真核細胞も使用するために、細胞培養環境の整備も行う。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の影響で学会や打ち合わせがオンラインとなったことなどもあり、次年度以降に培養細胞を用いた実験を開始する算段が立った。そこで、予算の使途および実験のデザインを見直し、高速度カメラの新調は行わず、現有のカメラの修理と翌年度の細胞培養環境の整備に予算を配分することとした。次年度に支出可能となり次第、ディープフリーザーや遠心機の購入を検討している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Fabrication of Microparticles with Front?Back Asymmetric Shapes Using Anisotropic Gelation2021

    • 著者名/発表者名
      Lee Dongkyu、Kitahata Hiroyuki、Ito Hiroaki
    • 雑誌名

      Micromachines

      巻: 12 ページ: 1121~1121

    • DOI

      10.3390/mi12091121

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] On-chip manipulation for revealing novel aspects of red blood cell mechanics2021

    • 著者名/発表者名
      Hiroaki Ito
    • 学会等名
      ESCHM-ISCH-ISB 2021 FUKUOKA
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Fabrication of microparticles with front-back asymmetric shapes by droplet-based microfluidics2021

    • 著者名/発表者名
      Hiroaki Ito, Dongkyu Lee, Hiroyuki Kitahata
    • 学会等名
      International Conference on Advanced Mechanism and Machine Technology 2021 (ICMMT 2021)
    • 国際学会
  • [学会発表] DC電場に駆動される荷電脂質相分離ドメインの粗視化シミュレーション2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤弘明、下川直史、樋口祐次
    • 学会等名
      日本物理学会2021年秋季大会
  • [備考] Hiroaki Ito

    • URL

      http://nonlinear.s.chiba-u.jp/~ito/

  • [備考] researchgate

    • URL

      https://www.researchgate.net/profile/Hiroaki-Ito-6

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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