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2021 年度 実施状況報告書

高エネルギーヘリウム照射によるプラズマ対向材のブリスター生成機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K13900
研究機関長岡工業高等専門学校

研究代表者

内田 雄大  長岡工業高等専門学校, 電気電子システム工学科, 助教 (70896810)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード核融合発電 / ヘリウム照射 / プラズマ対向壁 / 電子顕微鏡 / ブリスター / タングステン
研究実績の概要

本研究の目的は、単結晶および薄膜のタングステン試料を用いて高エネルギーのヘリウムイ オン照射によるプラズマ対向材のブリスター生成機構を解明することである。特に、(1) 試料内部のヘリウムバブル、ブリスターの深さ分布、(2)ヘリウムのエネルギー付与による試料内部の温度分布、(3)はじき出し損傷による降伏応力の深さ分布を測定し、ブリスターの深さが見積もられたイオンの侵入長と異なる理由を明らかにする。
初年度は、多結晶試料内部のヘリウムバブル、ブリスターの深さ分布の計測について検討を行った。まず、静電加速器によりヘリウムイオンビームをタングステン試料に照射した。照射後の試料について集束イオンビーム装置と透過型電子顕微鏡を駆使して断面を観察したところ、ヘリウム侵入長付近(約6micron)とその深部(約10micron)にてヘリウムバブルに相当する空隙を確認した。このことから、ヘリウムバブルは見積もられた侵入長よりも深い位置に存在することが実験的に明らかとなった。
また、ヘリウムイオンビーム照射による試料内部のヘリウム濃度分布を求めるための非定常数値解析コードを開発した。ヘリウムの濃度分布から定義された粒子の拡散源を初期条件として拡散方程式を数値計算したところ、侵入長付近にあるヘリウムは照射時間の範囲内でブリスターの深さまで拡散することが明らかとなった。
これらから、侵入長で停止したヘリウムは、タングステン中を移動し、より深い位置で存在する可能性を明らかにした。本結果は、従来の飛程よりも深い位置にブリスターの亀裂が発生する原因が、タングステン中のヘリウムの移動である可能性を支持する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

試料内部のヘリウムバブル、ブリスターの深さ分布を測定し、ヘリウムの挙動解析コードを開発した。それらの比較結果より、ヘリウムはまず従来の飛程周辺に侵入し、次に拡散により深い位置に移動しているというブリスターの生成過程を明らかにした。しかし、多結晶タングステンに対する成果であり、単結晶タングステンに関する検討には至っていない。引き続き、ヘリウムイオン照射によるブリスター特徴を測定、観察する。

今後の研究の推進方策

前年度の実験結果を踏まえて、単結晶タングステンにヘリウムイオンビームを照射し、侵入長とブリスターの亀裂の位置との関係を明らかにする。この際に、チャネリングや結晶方位による侵入長の変化に着目し、拡散解析コードへ入力するヘリウム濃度分布について検討する。その後、単結晶、単結晶タングステンでのブリスターの特徴を比較しつつ、生成機構を明らかにする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 核融合炉壁の損傷評価に着目した拡散方程式の解についての検討2022

    • 著者名/発表者名
      橋詰雪弥、内田雄大
    • 学会等名
      日本原子力学会2022年春の年会学生ポスターセッション
  • [学会発表] Blister and Bubble Formation by High-Energy Helium Ion Beam Irradiation into Tungsten for Nuclear Fusion2021

    • 著者名/発表者名
      Yuki Uchida, Seiki Saito, Nobuo Saito, Tsuneo Suzuki, Kazumasa Takahashi, Toru Sasaki, and Takashi Kikuchi
    • 学会等名
      The 5th International Symposium on Hybrid Materials and Processing (HyMap2021)
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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