2023年度は、補助ヘリカルコイルの付加によるLHD型連続ヘリカルコイルの配位特性改善を試みた。前年度までのシングルフィラメント電流モデルから、コイル断面を近似可能なマルチフィラメント電流モデルへとOPTHECSコードを改良することで、現実のコイルに近い最外殻磁気面形状および磁力線の回転変換分布の評価を可能とした。昨年度までの配位よりもプラズマ体積の大きさ、MHD安定性、新古典輸送が改善された磁場配位を構築した。この配位のブランケット設置スペースについては、従来のLHD型配位程度であり大きな改善には至らなかった。また、ヘリカルコイル断面のピッチ変調および断面形状の変形が真空磁気面に与える影響が軽微であることを確認した。立体磁気軸配位についてもOPTHECSコードによる改善を試み、昨年度に得られた準軸対称配位に比べてより高い体積平均βおよび体積領域にわたってMercier安定な準軸対称配位を得た。この配位における軸対称性を破る磁場フーリエモードの最大値、および実効ヘリカルリップルは、現在建設が進められている準軸対称配位の実機であるCFQSの物理設計に比べて70%程度低減されている。この準軸対称配位のモジュラーコイルを設計し、VMECコードにより自由境界MHD平衡の特性を調査した結果、体積平均ベータ値3%程度でもMercier安定条件を満たすことが明らかとなった。本課題を通じて、遺伝的アルゴリズムとB-spline曲線による外部コイル設計手法を開発し、また、外部コイル形状と電流値を変量とする全く新しい閉じ込め配位最適化コード・OPTHECSコードの開発を進展させた。OPTHECSの適用によって、連続ヘリカルコイル配位としてLHD改良型配位および準ヘリカル対称型の配位の存在が明らかとなった。また、軸対称性とMercier安定性の改善した新しい準軸対称磁場配位の構築に至った。
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