余剰次元を伝播するアクシオン「Kaluza-Klein(KK)アクシオン」は素粒子物理学の謎を複数解決可能な未発見の素粒子である。太陽内部で生成され重力的に太陽系内に捉えられた「太陽KKアクシオン」は,その崩壊によって放出される二光子(5keV+5keV)を捉えることで地球でも観測の可能性がある。本研究の目的は,ガス検出器を用いたKKアクシオン探索手法の確立と観測開始である。 2021年度にはマイクロパターンガス検出器の一種であるマイクロピクセルチェンバーを用いて原理検証実験を行った。この実験では,Fe-55線源とアルゴン エタン(9:1)混合ガスと10x10x1cm3の検出器を用いた。Fe-55の放射する5.9keVによって,3keVのアルゴン特性X線が発生する。また,残りの3keVも同時に検出が可能である。これら(3keV+3keV)を同時検出することで,本研究がKKアクシオン崩壊信号(5keV+5keV)を十分観測可能であることを確認した。また,原理検証実験に用いた検出器の10倍の容量を持つ検出器(10x10x10cm3)を製作した。2022年度には,10x10x10cm3検出器を地下実験室に移動させ,動作を確認した。連続運転を目指し,ゲインなどの調整を行なっている。
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