茨城県東海村J-PARCにおいて、世界最高強度のミューオンビームを用いたμ稀崩壊探索を行うCOMET実験のためのトリガー機構の開発を行なった。大強度ミュー オンビームに起因する高放射線環境においても、高効率で動作が可能なトリガー機構 を構築することで、探索感度の向上が期待できる。 当該年度は、前年度に改良・量産したトリガー機構のフロントエンドとなる電子回路を用いた動作試験を行なった。また、既存の読み出し電子回路との通信部分の安定性の評価試験を行い、アダプタの改良を行なった。また、検出器実機を用いて、トリガー機構の統合的な動作試験および性能評価を行い、 トリガー発行のために要求される性能を満たすことを確認することができた。予算とスケジュールの関係で、トリガー回路の全数を同時稼働することはできなかったが、同時稼働するための電源やケーブル、ラック、制御機器等のインフラを整備し、本実験へ向けた大きなステップを進められた。 一方、トリガー決定を行う電子回路のFPGAに実装するアルゴリズムの改良の研究も進んだ。FPGA上での深層学習アルゴリズムによるリアルタイムトリガー決定を 実現する手法の評価を開始し、実際にトリガー用フロントエンド電子回路への搭載が実現可能であることを示した。トリガー決定のアルゴリズムの最適化に向けて、大規模なシミュレーション用MCデータの生成を開始し、トリガーレートや効率などの性能評価や、性能向上のためのフレームワークを用意することができた。
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