多数の太陽系外惑星が発見され、惑星系の存在が普遍的なものとなった現在、個々の惑星の性質・特徴の詳細を知ることが重要となっている。そのような情報を得る手法の一つとして、惑星自身の光を直接検出する直接撮像法が挙げられる。しかし、この観測手法での惑星検出は技術的な困難が多いため、恒星から離れた(数十天文単位以遠)巨大ガス惑星が数例検出されるにとどまっている。より恒星に近く低質量な惑星を検出して取得したスペクトルの情報からその性質を調べるためには、観測装置の性能向上だけでなく、観測で得られたデータに対してより最適な解析を施すことも重要である。一般的に、直接撮像法の観測データはADI (Angular Differential Imaging)法で取得されている。現在ではPCA (Principal Component Analysis; 主成分解析)などの手法を用いて、恒星光の軽減が施されている。しかし、この画像処理手法では各画像間で惑星の位置が異なること、すなわち時間情報を有効に使用できていない。時間情報を画像処理に加え、検出限界を向上することが本研究の目的である。 初年度に引き続き、PCA以外のデータ科学の手法の適用を試みた。処理に時間短縮のため解析マシン等の改良を施しながら、本研究の主目的である時間軸に注目・特化した処理手法を模索したが、現在の主流の手法の検出限界を上回るようなものは見られなかった。一方、新しい観測装置をはじめとした最新の観測データの取得については、積極的に現地での観測に参加し、さまざまな観測状況下でのデータサンプルの拡大には成功した。本年度で終了であるが、引き続き手法の検討・成果のまとめを行う予定である。
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