本研究はダストの合体成長に伴う原始惑星系円盤の化学進化を明らかにすることを目的とした。具体的な成果として、原始惑星系円盤内のダスト沈殿、乱流による物質輸送、気相・固相化学反応を整合的に解くモデルを構築した。その結果、円盤ガスが百万年程度のタイムスケールで酸素・炭素に対し相対的に窒素に富んだ組成になること、ガス・ダストの輸送や化学反応のみでは観測されているような高いC/O比を持つ円盤ガスは実現されないことを明らかにした。後者は炭素質ダストの破壊によるガスへの炭素供給メカニズムが重要であることを示唆する。
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