研究課題/領域番号 |
21K13976
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
黒川 宏之 東京工業大学, 地球生命研究所, 特任准教授 (80713643)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 地球 / 大気化学 / 元素循環 / 炭素循環 / 太古代 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、まず第一に、大気化学と元素循環による地球大気と表層水量進化を解明すること、第二に、太陽系外ハビタブル惑星の大気・表層水量進化の多様性を理論予想することである。1年目には大気化学と元素循環の理論モデル開発を行った。2年目となる本年度は、初期地球記録との比較から地球進化を再現するパラメータを制約することを目的としていた。 研究はおおむね予定通り進展している。研究成果としては、1年目に開発した大気化学・炭素循環モデルを用いて幅広いパラメータ範囲についてシミュレーションを行うことで、地球の硫黄同位体記録の示す約25億年前の大酸化イベント以前の還元的大気環境を再現するパラメータ範囲を制約した。具体的には、マグマオーシャン固化時の大気/マントル炭素分配比を制約した。初期大気炭素量が多いほど、マグマオーシャン期から残存した還元的大気が長期間残り、適切なパラメータのもとでは大酸化イベントの時期まで持続することがわかった。この成果について論文にまとめており、2023年度に投稿・出版する予定である。また、3年目に予定していた系外ハビタブル惑星を想定した研究についてもすでに研究成果を得ている。具体的には、M型星(太陽より低温で暗い恒星)の周りを公転する惑星においては、還元的大気が長期間持続することを突き止めた。これは恒星の放射スペクトルの違いが大気化学に、ひいては炭素循環に影響するためである。この成果についても2023年度に投稿・出版する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大気化学モデルと水素・炭素・窒素循環モデルを用いた研究は計画以上に進展している。一方、1年目から持ち越した硫黄循環の組み込みは2023年度に持ち越すこととなった。モデル開発とシミュレーション実施の順番を変更したことが理由であり、全体として研究の進展に遅れはない。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画と前後し、持ち越した研究内容は2023年度に実施したい。2023年度分をすでに完了した研究内容もあり、全体としての進展に問題はない。残る研究内容を着実に進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会等がオンライン化したこと、予定していた物品の購入が遅れてたことによって次年度使用額が生じた。2023年度の出張費や物品購入費、人件費として使用する。
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