研究課題
あらせ衛星、Van Allen Probes衛星、THEMIS衛星、また地上磁場観測データを使用して、本研究課題で提案した「磁気圏電子ドリフトエコー」が検出されたイベントを100例以上抽出した。これらは1分スケールで放射線帯電子(500 keV - 2 MeV)が急減したのちエネルギー分散が見られるもので、特にEMIC波動による粒子散乱が疑われるものに焦点をあてている。これらのイベントを仕分けし、EMIC波動との同時性や複数衛星での同時検出の有無、EMIC発生領域からの距離や地磁気活動度との関連を調べた。多くは地磁気擾乱時に昼側外部磁気圏で発生していることが示唆され、放射線帯電子を10%程度減少させていることがわかった。またこれらのイベント検出の経験から、3次元フラックスデータからドリフトエコーを自動抽出するプログラムを開発し、ドリフトエコーの時空間スケールとその時間発展を定量評価できるようにした。ドリフトエコーの時空間スケールは電子散乱の発生領域の広さと、ドリフトエコーの長さは電子散乱が効果的に発生したエネルギー範囲を、また時間発展はドリフト周回中の第三断熱不変量の破れによる粒子拡散の効果を示している。本年度は統計解析に向けたイベントの収集を終え、その磁気圏内での位置分布や磁気擾乱度との相関関係を調べている。以上の結果は論文にまとめるとともに、国際学会での招待講演などで広く発表している。
2: おおむね順調に進展している
ドリフトエコーの結果をCOSPAR(ギリシャ)、AGU(シカゴ)などの海外学会やサイエンス会議(東京)、SGEPSS(神奈川)などの国内研究会で発表し議論を重ねた。またこれらの成果が評価され、学会奨励賞の受賞や助成金の取得につながった。現在上記の成果を2本の投稿論文として投稿中である。
2022年度に検出した多くの観測例と、並行して開発した自動検出プログラムを用いて、ドリフトエコーモニターの定量評価を行い、統計解析を行う。これらをまとめて、放射線帯の定常モニターツールとしての性能評価を行う。
新型コロナウイルス感染症の影響で旅費日程がずれこんだため。翌年度の国際会議参加費に充填する。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (18件) (うち国際共著 17件、 査読あり 17件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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