本研究では、花崗岩を基盤とする小起伏山地の源流域を対象にして、土層の生成速度を宇宙線生成核種の分析から明らかにし、降雨時に流れ出る土砂量を直接観測した。これらの結果をもとにして、長期的な土層発達過程を予測した。斜面で生産された土粒子は、凹型の斜面に集積する。急傾斜の場所では、時間とともに土層が厚く発達し、表層崩壊の危険性が増加する。水が流れている勾配の緩やかな渓床では、強い雨のときに土砂が流出するため、土層は薄く保たれている。今後、強雨頻度の減少や、表層崩壊の崩土で渓床が埋積され、水流による土砂運搬ができなくなった場合には、下流への土砂供給量の長期的な減少が予想される。
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